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「彼」 ページ4

田中side


? )…喧嘩しないでっていつも言ってるじゃん。

田中 )そんな顔すんなって。


喧嘩をして怪我をした俺に泣きそうな顔をしながら抱き着いてくる。
俺はそれを当たり前かのように抱き締め返す。


.


? )樹、危ないっ!

田中 )ぇ…


俺の身体は大きな衝撃と共に地面に打ち付けられた。


.


田中 )…はぁ、夢?


凄くリアルな夢だった。

抱き締められたのも身体を地面に打ち付けたのも全てがリアルだった。


ジェシー )もう大我ちゃん来るけど、大丈夫?怖い夢でも見た?

どうやら俺は魘されていたらしい。
ほとんど寝てないし、今も夢のせいで余計に疲れた気がした。


.


京本 )おはよ〜。今日からこのクラスに新しい仲間が増える事になりました。おいで?

松村 )…樹?


京本の後ろから入ってきたのは驚く程の美人だった。

あれ、今名前呼ばれた…?


松村 )樹、元気だった?怪我は?喧嘩はしてない?

田中 )…何で俺の名前知ってんの?


急に俺の席まで来たかと思えば質問攻め。

そもそも誰なのかも分からないし、正直言ってどう接したらいいのか分からない。


松村 )樹、どうしちゃったの…?

田中 )えっと…

京本 )北斗の席は1番後ろの空いてる所ね?


戸惑う俺とは反対に北斗と呼ばれた彼は泣きそうな顔をしていた。


.


ジェシー )樹、今どう思ってる?


昼休みいつも通り3人で屋上に行くはずが、慎太郎は用事があるとかでジェシーと2人きりの昼休みを過ごしていた。


田中 )…分からない。


ただモヤモヤしてもどかしくて、そして何より泣きそうな彼の顔が俺の名前を呼ぶ声が頭から離れてくれない。


森本 )お待たせ〜、遅くなってごめんね?

松村 )…無理だよ、

森本 )いいから早くおいで?


屋上に顔を出した慎太郎とその後ろには彼が立っていた。

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作者名:のと。 | 作成日時:2024年1月29日 14時

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