「胸騒ぎ」 ページ3
松村side
目を覚ますと真っ白な天井と薬品の匂い、身体を起こそうとしても動かない。
それはまるで自分の意思とは関係なく動かすことが出来なかった。
高地 )北斗…、!?
松村 )おに、ちゃん…
心配そうに俺を覗き込んだのは血の繋がらない兄だった。
先生を呼んでくるなんて慌ただしく出ていったかと思えば、直ぐに先生が来て色々検査を受けた。
何と俺は半年以上も眠り続けてたらしい。
医師 )外傷は酷いけど後遺症も無さそうだからリハビリさえ終われば、退院して普通に生活してください。
高地 )ありがとう、先生…ありがとう!
.
あの後これからのリハビリと学校へいつから登校するか明日からの予定を教えてもらった。
少なくとも1ヶ月は入院、学校に行けるのは4月から。
つまり俺は高校2年の前半は寝たきりで後半はリハビリで、登校出来るのは高校3年になってからという事だ。
高校2年の丸々1年間、俺は病院で過ごさなければならないらしい。
松村 )お兄ちゃん、樹はって聞いてるじゃん。
ベッド生活の俺は今日は絶対安静の指示が出てしまって動けそうにない。
窓際に座って手続きの書類を書いてくれている兄はこの質問をすると絶対に黙ってしまう。
これで5回目の沈黙。
松村 )…もういいよ、俺今から樹の家行くからね。
高地 )俺はもう北斗が傷つく姿見たくないんだよ。
そう言ったお兄ちゃんの顔があまりにも苦しそうで切なくて、これ以上俺は何も言えなくなってしまった。
.
やっと退院の日になって来週からは学校が始まる。
樹は一度もお見舞いに来なかった。
俺の入院を自分のせいだとか言って泣いてるのかな何て思ってた俺が浅はかだったと気付くのは、4月から学校に再登校した時だった。
松村 )俺が転校生って何、違うじゃん。俺は1年間休学してただけ。2年生は確かにしてないけど今日から3年になるんだよ?
京本 )樹の事守りたいんでしょ?
学校に着き樹を探そうとしたら、偶然京本とすれ違い職員室まで連れてこられた。
急に転校生だなんて言われて意味が分からなかった。
松村 )樹を守りたいのは当たり前だよ、そんなこと京本が1番分かってるじゃん。
京本 )…そろそろHRか、教室行くよ。
俺はそう言った京本の背中を追いかけて教室に向かった。
やっと樹に会えるというのにこの嫌な胸騒ぎはどうしてだろうか。
221人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:のと。 | 作成日時:2024年1月29日 14時