運命なんてありません。 (ページ2)

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「帰宅路」ページ2

森本side

大我ちゃんに呼ばれた樹を待ってからいつも通り3人で帰宅路を歩いてたら“松村北斗”と確かに樹の口から聞こえた。

俺もジェシーもほんの一瞬流石に言葉に詰まってしまって、長年の付き合いの樹がそれに気付かないわけがなかった。

田中 )…お前ら俺の目見て話せ。

ジェシー )樹は松村北斗って名前聞いても何も思わなかった訳でしょ…？それなら俺から話す事は何も無いよ。

ジェシーの言葉に樹はただ俯くだけでその後は無言のままいつもと同じはずの帰宅路を、いつもより遠く感じる家まで帰るだけだった。

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森本 )樹、寝てないでしょ？

ジェシー )顔色悪いし、今日は休んだら…？

俺ら3人は家が並びにあって登下校はいつも3人でしていた。朝いつも通りの時間に外に出れば同じタイミングで樹とジェシーと合流する。

だけど今日の樹は明らかに寝てないって顔に書いてあって、今にも倒れるんじゃないかと思うほどだった。

田中 )…昨日さ俺めちゃくちゃ考えた。2人の様子だと俺だけ知らない訳じゃなくて、俺だけ覚えてないって事だよな…？

そう言った樹の顔は悲しさか悔しさか何とも言い表せない感情が混ざったようだった。

森本 )あのさ、樹。何があっても俺らは樹の味方だから。全部思い出した時に樹が何を選んでも、俺はそれを全力で応援する！

田中 )ありがとう。

ジェシー )ちょ、早く行かないと遅れるって…！

そんなジェシーの声と共に俺ら3人は学校まで走って走って、走りまくった。

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ジェシー )…疲れた〜…

田中 )俺もう寝るわ…

教室に入ればいつも通りの2人の姿にどこか安心した。
数分で2人とも本当に寝てしまっていて、時計の針は8時30分を指そうとしている。

どうか樹の未来が明るいものでありますよに、と心の中で願う事しか今の俺には出来なかった。