「欲しい」 ページ2
京本side
俺に寄ってくる奴は男でも女でも、俺の顔しか見ていない。
隣に俺が居ればそれだけで自分も上に立てたと思えるから。
なのに、初めて俺の手を振り払う奴が現れた。
.
京本 )樹〜、エキストラについて今から変更って出来る?
俺のマネージャーである樹は仕事が早く、腕もいい。
田中 )無理だって言えば諦めてくれんの?
京本 )この子、俺のシーンのエキストラにしてくんない?
俺は1枚の学生証を樹に手渡した。
さっき北斗に近づいた時に彼のカバンのポケットに入っていたのが見えたので、バレないように抜き取っていた。
自分でもどうしてかと問われたら分からないけど、俺の本能がこいつが欲しいと叫んだ気がした。
.
松村 )…何で俺なんですか?
敏腕マネージャーの樹は、1時間もしないうちに北斗を捕まえていた。
撮影が始まるので中庭に向かえば、樹に腕を捕まえられ不服そうな顔をした北斗が隣に居た。
松村 )俺講義あっ…
田中 )今日は午前だけで午後からは空きコマ。
松村 )…は?
京本 )申し訳無いんだけど、北斗の事はそこにいる俺の敏腕マネージャーが把握済み。
北斗の顔はみるみるうち絶望一色に色を変えていた。
.
京本 )早く着替えて。
松村 )嫌だ。
今回の映画は高校生の物語なのでエキストラである北斗には、制服に着替えて貰わなければならない。
京本 )もう1度言うよ?撮影始まるから早く着替えて。
松村 )っ…、
北斗の目を真っ直ぐ見つめれば眉間に皺を寄せるも、大人しく隣の部屋に着替えに向かった。
松村 )き、がえました…
制服を着た北斗はとてもかっこよくて俺の目に狂いは無いと確信した。
傷んでない綺麗な黒髪に、優しい眼差しと綺麗な鼻筋に聞き心地の良い低音でなめらかな声。
京本 )エキストラなんて、勿体ないな。
田中 )そろそろ準備出来た?監督待ちくたびれ…
京本 )樹、北斗に惚れたらダメだからね?
俺達を呼びに来た樹は北斗を見るなり固まってしまったので、俺の声が届いたかどうか分からないけど一応釘を刺しておいた。
365人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
のと。(プロフ) - uikeさん» コメントありがとうございます!ご期待に添えるようにこれからも頑張ります!! (5月25日 11時) (レス) id: 245ee32d81 (このIDを非表示/違反報告)
uike(プロフ) - 続き楽しみに待ってます!!私好みですごく面白かったです! (5月22日 20時) (レス) id: 661aaf06b2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:のと。 | 作成日時:2023年5月17日 10時