エキストラから主役へ

第1章「いつも通り」 ページ1

松村side


いつも通り8:30の電車に乗り、いつも通り大学に着きいつも通り教室に向かえば何故か扉が開かなくて鍵がかかっていた。


松村 )あれ？


メールや大学のホームページを見ても休講のお知らせなんて来ていない。

通って1年も経っており、教室の場所を今更間違えるはずがない。


高地 )北斗？！お前ここで何してんだよ、早くこっち来い！

松村 )え？じゅぎょ…

？ )うるさいんだけど、何？


俺はたまたま通りかかった親友の高地に腕を引かれかけた時、教室の扉が開いた。

すると中からとても綺麗な金髪に小さな顔、透き通った綺麗な肌に吸い寄せられるような目を持った人が出てきた。


？ )…もしかして君、俺に抱かれたかった？


するとその人は見ず知らずの俺の顎を持ち上げた。
俺はその人から目が離せなくて、体もまるで自分じゃないみたいに動けなかった。


松村 )あ、の…、知らない人にこんな事失礼かもしれないんですけど、自意識過剰なのはどうかと思います…。


我に返った俺はその人の手を退かした。
よく考えて見たら初対面の男にそんな失礼な事を言う人が居るのかという喪失感に、そんな事を口走っていた。


松村 )俺は別に平気ですけど、他の人だったら通報されてますよ？

？ )ふは、君面白い。また後で会おうね？


その人は一瞬驚いた顔をした後、その一言だけを残して教室の中に戻ってしまった。


松村 )授業…

高地 )北斗、お前ちょっと来い。


俺は腕を引かれてされるがまま、空き教室に連れてこられた。


高地 )本校舎は半年間使えないって昨日先生言ってただろ？

松村 )え、何で？

高地 )もう1つ、あの態度はダメだろ。


ふと思えば、半年間は別館を使うと先生が言ってたような気もする…？
それより高地の様子がおかしい、怒っているというよりは興奮しているように思う。


高地 )いいか、よく聞け。今日から半年間ここの大学は、映画の撮影場所として使われる。だから本校舎には生徒は立ち入り禁止なんだよ。さっきお前が失礼な態度をとった人は、今大人気の俳優京本大我さんなんだぞ？


京本大我。

名前は聞いた事あるような、無いような。
俺にはその程度の解釈なのでそんな凄い人だとは知らなかった。


高地 )で、今回の映画の主役がまさに大我さんなんだよ！


高地の興奮している理由はよく分かった。
ただ、京本大我のファンなのだ。

「欲しい」→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す