片思い２ (ページ8)

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「はい、いってらっしゃい」

そう言って手渡されたバッグに驚いて、思わず織田くんの顔を見た。

「え……私？」

ゆづくんの自宅マンションの駐車場。
暗い車内ではその表情は見えないけど

「うん、今日はAちゃんの方が出口近いもん」

確かに今日は私が一番ドアに近い所に座っているけど、はっきり言って行きたくなかった。
　
「え～、引き返そうって言ったの織田くんじゃん」

あくまでめんどくさそうに、そんな言葉を返してみたけど

「なんなんだよ～さっきからぁ？いいじゃん別に」

不審がる織田くんに、これ以上不自然な拒否をするのもまずい気がして渋々バッグを手に車を降りる。
やだなぁ……。
気が重かった。

オートロックの正面玄関に着くとそこには先客がいて、ちょうどロックがはずれた所だった。
上がっていくエレベーターとは逆にテンションは落ちていく。
非常階段で泣きそうになったことや、怒ったゆづくんの眼差し。
あの最悪だった日を思い出して気が滅入った。

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