両思い ５ ◇織田くん視点 ページ49
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昌磨たちを見送って訪れた微妙な沈黙。
もう俺は関わるつもりない！知らない！
スマホを掴むと部屋の隅に置かれたソファーに退散する。
何にも聞こえません！ていうか、聞きません！
でも、そんなの無理な話。
だって同じ部屋にいるんだもん……。
「ゆづくん、怒ってる？」
小さく呟かれたAちゃんの言葉にたっぷり間をおいてから返されたゆづくんの声は不機嫌そのもので、
「怒らせてる自覚あるんだ？
……てかさぁ、Aちょっと無防備すぎるんじゃないの？」
「……どういう意味？」
「なんであんなジャレ付かれて普通にしてんの？」
「普通って……昌磨くんて、元々ネコみたいなひとでしょ？ 昔からあんな感じだし。
そんな見ず知らずの人にされたら私だってヤダけど」
ごもっともだよ、Aちゃん。
でもそれがね〜、昌磨だから余計ゆづくんはムカツクらしいんだよね……。
その辺の微妙な感じ、Aちゃんはわかってなさそうだなぁ。
Aちゃんにしたら完全そんな対象じゃないわけだし、
結構自分のことになると鈍いってゆーか、ちょこちょこボケてるし……あ、言い過ぎ？
「ふーん、昌磨だと嫌じゃないんだ」
げ……ゆづくん棘ありすぎでしょ……。
「昌磨くんだからとかそんなの考えたこともないし、意識したこともないよ。
だいたいゆづくんだって他の女の子とハグしたりするじゃん。なんで私だけ？」
あ、やばい。Aちゃんもスイッチ入りかけてる。珍しい……。
「言っとくけど私は絶対ないから……。ありえない。大体、変に意識し過ぎなの、ゆづくんの方だよね？」
うあ〜！ヒートアップしそうな予感……！
に、逃げようかな〜。
おもむろに部屋を出ようと腰を上げた俺に掛けられた声はゆづくんのもので
「どこ行くの？ ノブくん」
「え？えーと、トイレ……かな？」
「織田くん、さっきもトイレいってたよね？」
Aちゃんの何か言いたげな冷たい視線。
はい、おかしいですね。嘘です。
「え〜と……」
「ねぇ、ノブくんはどう思う？……全面的に俺が悪いの？」
そんな起爆装置になりかねないような質問は勘弁してよ！受け付けません！
てか、俺関係ないっしょ？巻き込むなよ！
大体なんで俺が出て行かなくちゃなんないのよ！
ここは俺の楽屋でもあるんだよーーー！
だあぁ〜！もうあったま来たっ！
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作者名：mirin | 作成日時：2021年3月8日 0時
