片思い２ (ページ47)

今日:20 hit、昨日:0 hit、合計:53,833 hit

両思い３ ◇織田くん視点ページ47

・

「いてっ！」

突然背後から飛んできた物体は見事に昌磨の背中にヒットした。
それは見覚えのある小さな柔らかいサッカーボールみたいな、所謂スマイルボール。
関係者の誰かが持ち込んで空き時間に地味に活躍しているものだった。
転がったそれは俺の足元まできて止まった。

「あ、ごめん。コントロール狂った」

嘘つけーーー！むしろナイスコントロールだろ！
一応笑ってるけど、目が笑ってないよゆづくん。
後輩たちなんてきょとんとしてるし～。

「ゆ、ゆづくん～。それ幼児用だけど楽屋で蹴ったらあぶねーって前にも怒られたじゃん、やるんなら廊下出…」

「ゆづくん、今狙った？」

「ん、なんで？偶然じゃん」

嫌な空気が流れてます。マジで……
勘弁してよ、ゆづくん！
Aちゃんもボーッとしてないでフォロー入れましょうよ！

「やっぱり足首強いとサッカーも上手かったりするのかなぁ」

Aちゃん……それ微妙にフォローになってないよ……。
こんな時に天然発揮しなくていいから！

「あ～と、今度試してみたいよね？先輩対後輩みたいな感じで……」なんて、適当に話振ってみたけど、増々ヤバい方向に流れて収拾がつかない。

「それ、いいかも。俺サッカー得意。ね、この間も一緒にやったよね？」

「えぇ！？あ、え…あ、うん」

挑戦的な昌磨の言葉に、話を振られた後輩が機嫌悪そうなゆづくんをちらっと見ながらどもる。
きっとこの空気の意味がわかんなくて混乱中なんだろうな……。可哀想に……。
いや、わかんない方が幸せか。

　
「こないだのゲームのときも俺が勝ったし」

「ゲームと本物は違うじゃん。なんで勝つって言い切れんの？」

もう…、この負けず嫌い二人どうにかして……。
なんかゆづくん、Aちゃんのことと話それてるし～。
当のAちゃんは「あれ？」って顔してゆづくん見て首傾げてるし……。
君だよ！君が原因なんだよ！わかってる？
　

「だって、こっちにはサッカー経験者のこの子いるもん」

「なにそれ、昌磨じゃなくて◯◯くんがすごいってことじゃん」

鼻で笑ったゆづくんに明らかにムッとした昌磨の表情。
名前を出されて可哀相なくらい後輩の子がおろおろしててなんか同情する……。

・