片思い２ (ページ31)

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８１◇羽生くん視点ページ31

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「ゆづくんたちってさぁ…」

突然の呟きに目を開けると、ぼんやりと宙を見つめているノブくんを見遣った。

「ただすれ違ってるだけなんだよねぇ……」

「え……？」

問い返すように洩れた声。
気にした様子もなくノブくんが続ける。

「俺、Aちゃんが寝られない理由…、気がついてたんだよな……」

そんなノブくんの言葉に驚いて、もたれていた壁から弾かれたように起きあがる。
　
「ちょっと、それホント？」

「うん、最初はなんとなくだったけど。でもAちゃんは絶対言わないだろうから、俺も知らない振りしてようって思った」

なんだよ、それ……。
俺だけが知らなかったってこと？

「……なんで」

やり切れなさから溢れたため息混じりの声が静かなロビーに響く。
なにか疎外感すら感じて気が滅入りそうだった。

「俺だって心配だったよ。Aちゃんが寝てないのも元気ないのもわかってたし。
でも理由知っててもなんにもしてやれなくて。ホント全然無力っていうか、へこんだよ……」

「だから、理由って何なんだよ……」

苛ついて問いかけた俺をノブくんが見つめて来る。
その目の真剣さに思わず身体が緊張した。

「Aちゃんさ、めちゃくちゃ好きなヤツがいるんだよ。ぶっ倒れるくらい」

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