片思い２ (ページ13)

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６３◇羽生くん視点ページ13

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昨日、もう一度ハッキリと告げた別れは、やっぱりというか、予想したとおり、彼女を泣かせることになった。
帰り際、振り返った彼女の泣き腫らした目に胸は痛んだけれど、頭の中はひどく冷めていた。
自分自身、感情の起伏が激しいことは自覚している。
なのに自分でも驚くほどに淡々と、一年の付き合いは終わりを迎えた。
俺はこんなに冷たい人間だったのか？
大切な人の、その全てを、ずっとそばで守りたい。
そう思っているはずなのに……。

思わずもれたため息に、ノブくんが目ざとく反応する。

「何よ？疲れた顔しちゃって」

「別にー。俺にだって悩みの一つや二つあるんだよ」

「悩めるゆづくん。大先生が相談にのりましょうか？」

眉を上げて戯けたように首を傾げたノブくんの肩を軽く押しやった。

「……何の先生だっつーの。いいよ、もう」

「あはは。いや、マジで」

あんま、溜め込むなよ？
そう言って立ち上がったノブくん。

「おっしゃー！今日も気合い入れていきましょ～！」

「ノブ、声でけーよっ！」

つっこむ誰かの声に振り返ったAが笑う。
その笑顔を曇らせるものはなんなの？教えてよ……A……。
声に出さない問い掛けは、空しく胸の中へと消えていった。
　
　

　
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