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「何してんの二人で……。昌磨、Aいじめるのやめなさい」
 
コンビニから帰ったらしい真琴が呆れた顔で部屋の入口に立っていた。
私は髪はボサボサ、ネコみたいな昌磨くんに肩にのしかかられたままで、それを真琴が剥がしてくれた。

「大丈夫? A」

「う、うん……」
 
こんな風に男の子とじゃれ合って触れることが初めて過ぎて、なんだか妙に照れくさかった。
男の子に免疫無さすぎて……比較対象がネコとかなんだけど……。

ゆづくんは……たまに呼びかける意味でゆづくんが触れる肩ですら、緊張して情けないほど強ばってしまう。

急に切ない気持ちになってそっと肩に触れてみる。
今残された昌磨くんの痕跡よりも、いつだったかも忘れたゆづくんが触れた感触の方がリアルだなんて……。
 
 
ゆづくんから逃げたい気持ちとずっと側にいたい気持ち、そんな矛盾した2つの感情がいつも私の胸を締めている。

 
また落ちていきそうになった感情の波から引き戻されたのは、リビングに置かれた時計が視界に入ったからだった。
明日は午前中からレッスンが入っている。
時計は11時半を過ぎたところだった。

「あ……、私そろそろ帰るね。明日レッスンだし」

そう切り出すと、昌磨くんと真琴の息のあった「おう!」という返事が返ってきた。

「Aちゃんと帰れるー?」

からかい混じりに言ってきた昌磨くんにはどこか穏やかな表情が浮かんでいて、少しは気を紛らわせる役にはたったのかな……と思う。
肩に歯形までつけられるのは予想外でびっくりしたけど……。

「平気だよ。まだ電車あるし……」

「ダメ、危ないからタクシー呼ぼう」

この会話、似たようなことが最近もあったな……。
ゆづくんを……思い出した。
二人に「ありがとう」と返して、迎車のタクシーに乗り込む。

 


ただ笑い合って騒いで……楽しかったな。
見上げた夜空に月は見えなかったけど、少しは気分が上昇した気がしていた。




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設定タグ:羽生結弦 , フィギュアスケート , 夢小説   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:mirin | 作成日時:2021年3月6日 15時

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