【HQ】ピアノが弾けなくなった少年がバレー部と出会い愛される話。 (ページ12)

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9曲目ページ12

貴「えっと、ボールが顔面に当たって…」

小学生みたいな理由に少し恥ずかしさを感じながらも、母さんに伝える。

すると母さんは「あらあら〜」っと言いながら正面のイスに座る。

母「お風呂の時は外しなさいよ〜。念の為明日も付けておいてね。湿布出しとくから」

貴「うん。ありがとう。いただきます」

母「はい。いただきます」

貴「ﾓｸﾞﾓｸﾞ…美味しい」

母「良かった。そう言ってくれると作りがいがあるわ〜」

嬉しそうに笑う母さん。久々の母さんのカレーは美味しかった。
いつも母さんがいない時は僕が大抵僕が作っているが、やはり母親の料理の方が美味しい。

母「いつも1人にさせてごめんね、」

貴「何言ってんの。仕事だし仕方ないでしょ。僕より母さんの方が大変でしょ。お疲れ様」

母「〜っ！もー可愛い息子ねぇ！！(ｶﾞｼｶﾞｼ」

貴「わ！ちょっと！」

笑いながら頭を強く撫でられる。
…黒尾さん思い出すな。

でも、嫌じゃない。だいたい一人でいるから、こうやって家族で居られるのが嬉しい。撫でられながらも少し微笑む。

母「小学校の時は暗かったからどうなるかと思ったけど、立派に大人になったのねぇ〜」

貴「！…そりゃあ、高校生だから」

母「それもそうね笑」

立派な大人、か…

僕にそんな言葉は似合わないよ。

僕はずっとあの頃のままだよ。母さん。

過去を忘れようとただ逃げてるただの子供。

何も…変わってないんだ。

何も…

母「奏？」

貴方「！！なに？」

声をかけられハッとすると心配そうに母さんがこちらを見ていた。

母「顔色悪いけど大丈夫？」

貴「え、あ〜…大丈夫だよ。少し疲れただけ」

心配させないために笑うと、「そうなの？そしたら早くお風呂入って休みなね」と笑う母さん。

僕は頷き、残りのカレーを食べて自室へ向かう。

着替えを持ち、風呂場へ向かう。
制服を脱ぎ、体と頭を洗い湯船に浸かる。

貴(また考えちゃった。前にみた夢のせいだな…。考えないようにしてたのに…)

今日は色々ついてない。バレー部は楽しいから別にいいけど…問題は…

貴(ピアノ…)

小学校の時、ある事がトラウマでピアノを辞めた。しかし、その理由は誰も知らない。母さんも。

言わない…とゆうか言えない。
言えるわけが無い。

貴(あーだめだ！考えるな！落ち着け僕。)

湯船から出て着替えを済ませ、
母さんにおやすみと伝えベットに倒れ込む。

バレー部か…。

と思いながらも僕は眠りについた。