07 ページ8
.
「幸せになれ」
「愛のある子に」
「愛してるよ、A」
私が愛されていたのなんて、
いつの話だろう。
もういないんだ。
私を認める人なんて。
もういないんだ。
私が愛されたいと思う相手なんて。
この世界のどこにも、
もういないんだ。
その声が霞む
顔が見えない
どんな人だったか
どんな声をしていたか
どんな愛で、
私を抱きしめてくれたのか
どんな体温をしていたか
ひとつひとつ、
確実に忘れてゆくのが怖くて
怖くて。
あなたがもういないことを認めてしまえば、
それは私の世界からあなたの存在を消してしまうことだ。
あなたの笑った顔がすきだった。
あなたの作る少し薄味のご飯がすきだった。
あなたの匂いがすきだった。
あなたの私の頭をくしゃりと撫でるその仕草がすきだった。
あなたの細くて綺麗な指がすきだった。
あなたの宝石のような目がすきだった。
あなたの着る、少しダサいTシャツでさえ、
愛していた。
愛する彼女は、
もうどこにもいない。
.
9人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ティアー(プロフ) - *天 神*さん» 閲覧ありがとうございます!更新スピードは遅いですが頑張りますのでどうぞよろしくお願いします! (2018年9月2日 20時) (レス) id: baa942cd57 (このIDを非表示/違反報告)
*天 神*(プロフ) - 初コメ失礼します。面白いです!文才がすごすぎです。更新楽しみにしてます、頑張ってください。 (2018年9月1日 0時) (レス) id: 537ce569f0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ティアー | 作成日時:2018年8月29日 12時