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かぶき町一番街。
確かに、その煌びやかな門にはそう書かれていた。その奥に覗くのは、これまた煌びやかな、夜のお店。
「……かぶき町…って」
あの、かぶき町か、
ふと奥を歩く人々に目をやれば、そこにもまた、おかしな光景が広がっている。それは、みんなが着物を着ている、というもので。
「…えっ、………えっ？」
立ち止まって頭をフリーズさせる私。どういうことだと周りを見つめる。
どの店も古っぽく、道はアスファルトでなく砂道だ。それに着物を着た人々ーーー。
「…なにこれ、」
どうやら私は、おかしな世界に迷い込んでしまったらしい。
「いでっ、」
「あァ、すまないね」
ぼーっとしていれば、立ち止まってしまっていたせいで後ろから流れてきた人にぶつかってしまう。
「…ぁ、すみませ、」
もう先を行き始めていたその人。彼女の方をみて、謝罪の言葉を述べようとした。
ふわりと香る、懐かしい花の甘い香り。
見違える筈がなかった。
もう1メートルくらい前にいて、行き交う人々の雑踏に呑み込まれた後ろ姿だったけれど。
編んで横に流した美しい紺色の髪、白いうなじ、ほんの少しだけ左右に揺れるなで肩、振り向きざまにほんの少し見えた、薔薇色の頬に凛々しく細い眉、酷く綺麗な群青色の、釣り目がちな瞳に、あどけない影を残す長い睫毛。
「……姉、さん……、？」
確かに、もういない筈の彼女が。
もう二度と、私の前に姿を現してはくれない筈の彼女が。
私の前を歩いていたのだ。
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ティアー(プロフ) - *天 神*さん» 閲覧ありがとうございます！更新スピードは遅いですが頑張りますのでどうぞよろしくお願いします！ (2018年9月2日 20時) (
レス) id: baa942cd57 (このIDを非表示/違反報告)
*天 神*(プロフ) - 初コメ失礼します。面白いです！文才がすごすぎです。更新楽しみにしてます、頑張ってください。 (2018年9月1日 0時) (レス) id: 537ce569f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ティアー | 作成日時：2018年8月29日 12時
