【鬼滅の刃】転生したら御館様の娘だった件。

陸話 ページ7

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｢─────父上、御支度は整われましたでしょうか、夕刻は冷え込みますので、日が落ちる前に向かいましょう｣

｢ああA、ありがとう、支度は整ったよ、では行こうか｣



襖越しに声をかければ、その美声が聞こえる。

ふへ、これが1/f揺らぎという奴か。
柱も膝をつく御館様が父上だなんて……ふへっ、照れる奴やん……………。



1人でにやにやしていれば、父上が襖をあけて出てきた。父上は失明しているので多分見られていないと思う。


｢……何かいいことでもあったかな？｣


思いたかった。




｢………いえ、何でもありません、向かいましょう｣


誤魔化すように父上の手をとり、ゆっくりと歩き始める。

やべぇ、手汗かきそう。




｢……A、やっぱり、今日は何かいいことがあったみたいだね｣




あっ、わかります！？！？！？鬼滅の刃っていう推してた漫画に転生した上大好きな産屋敷耀哉さまに会えたことなんですけど！！！！わかっちゃいます！？！？！？

オタク特有の早口が喉元を滑りそうになり、慌てて咳払いをした。



｢……ええ、今日はとても天気がよろしいので｣

｢そうだね、今日はとても暖かいね｣




仏のような笑みを浮かべる父上に、私もにやけた頬を抑えきれなくなった。


いつも通り、とはいっても、記憶が戻って初めてお墓参りに向かう。
いつもはあまり深く考えずについて行っていたのだけれど、私の隣でしゃがみ、手を合わせる父上の背中から、悲痛と怒りの気配を感じた。

父上はいつも、こんな気持ちで過ごしていたのだろうか。




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