漆 ページ10
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ゆっくりと意識が覚醒していく
微睡んだ泥の中から引き上げられていく
体のあちこちが熱をもっていて、酷く痛い
吐きそうだ
「…あ、目、覚めました?」
眩しい日差しが視界を覆う
声のした方にぼんやりと顔を向ければ、
美しい女性が此方を見ている
……ああ、あれは確か
胡蝶しのぶさん
カナエさんの妹で
………カナヲの、お姉さん
ずきずきと痛む腹を抑え、ゆっくりと起き上がる
「ちょっと、無理に動かないでください、まだ傷が塞がってないので」
カナエさんとは真逆ともいえる、はきはきとした口調の言葉
姉妹とはこうやって釣り合いがとれているものなのかもしれない
「……あの、私はどうして生きているんでしょうか」
「ああ、鎹鴉の知らせで応援にきた隊士が見つけてあなたを連れてきてくれたんです
どうやら鬼はもういなかったみたいで」
「………そうですか」
「取り敢えず薬を持ってきます」
「ありがとうございます」
しのぶさんがいるということは
カナエさんにも会えるだろうか
………ちょっと待て
カナヲもいるのでは、
「……や、やばい」
廊下からしのぶさんと違う気配を感じ、
慌てて布団を被った
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作者名:ティアー | 作成日時:2019年9月29日 15時