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拾漆 ページ20

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「では改めて、蓬莱桜と申します、カナエさん、しのぶさん、アオイさん、カナヲさん、すみちゃんきよちゃんなほちゃんも
よろしくお願いします」









一瞬、声をあげそうになった



その髪も瞳も声も、私は既に知っていたから






……ねえ、生きていたの、姉さん


名前すらなかった、私の姉さん





嬉しかった


桜姉さんによれば、もう1人、あの姉さん


────あの夜、私をいつか連れ出すと約束してくれた姉さんも生きていて、桜姉さんと暮らしているらしかった






会いたい



あの人に会いたい



会ってお礼が言いたかった




ふたりにたくさん話したいことがあった




あの愚かな母親と父親の話も

今までの人生の話も







……生憎、桜姉さんは、私のことを覚えていないらしい





「カナヲ」



私の名を呼んで、頭を撫でる






あなたは私を知らないから、

姉さんとは、呼べないの




…悲しいな






「………桜」




ねえ、もう一回撫でてよ






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作者名:ティアー | 作成日時:2019年9月29日 15時

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