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拾陸 ページ19

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───────私は時々、悪夢をみるの


幼い頃の悪夢を


しのぶ姉さんやカナエ姉さん拾ってもらって、もう怖いことなんてないのに

ずっとずっと夢をみるの









.






「──────わああん!!!いやだお母さんやめて!!!」
「うるさいんだよ!!!」




痛い

いたい


いたい







苦しい


悲しい


寂しい


痛い



寒い

暑い



お腹がすいた





助けて





誰も助けてくれないの


みんな死んでいく






姉さんも兄さんも妹も弟も死んでいく



私もいずれ殺される






助けて



苦しいの


辛いの









助けて──────────






─────「姉さんが連れ出してやるよ」









.






「…………っ!!!!」




目を覚ませば、いつも夜中

額の汗を拭って、からからの喉が痛くて




もうあの人たちはいないのに

私はいつまで怯えればいいの



この夢に魘されるとき私を助けてくれるのはいつも、夢の最後に聞こえる、あの姉さんの声だった


結局、連れ出して貰える前に売られちゃったけれど




それでも幼いあの子の声が

いつも私を悪夢から救ってくれる








「………もう、死んでしまったかしら」




私の姉さん



あの日の、煌々と輝く月を

私はまだ、鮮明に覚えている






.

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作者名:ティアー | 作成日時:2019年9月29日 15時

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