拾肆 ページ17
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「では改めて、蓬莱桜と申します、カナエさん、しのぶさん、アオイさん、カナヲさん、すみちゃんきよちゃんなほちゃんも
よろしくお願いします」
軽く頭を下げ、彼女らに挨拶をする
私の蝶屋敷での仕事の初日だった
「ええ、改めてよろしくね桜ちゃん
……ああ、そういえば、カナヲとは初対面だったわね、カナヲ、挨拶してくれるかしら」
カナエさんに言われ、その隣にいた少女がぺこりと頭を下げた
マゼンタの瞳とサイドテールが特徴的な少女
Aとあまり歳もかわらないように見える
「……はじめまして、栗花落カナヲと申します、よろしくお願い致します」
「ええ、よろしくお願いしますね、カナヲさん」
私はその白く柔い手を優しく握って微笑んだ
………どこか懐かしい気配を感じるのはどうしてだろう
その美しい瞳は何も映さず、ただ優しく微笑んでいるだけだ
無口で、どこか不思議な雰囲気を放つ少女だった
「……では、早速だけれど薬の調合を頼めるかしら」
「はい!」
私は医学全般に精通しているけれど、薬学に関してはあまり深くは触れてこなかった
だから、大体の薬は調合できるけれど、鬼を殺すための藤の毒や血鬼術を解く解毒剤などについはしのぶさんの方が詳しかった
そのため、私はしのぶさんに薬の調合について教えて貰っていた
どんどん知識は増える
技術も研がれていく
こんな私でも、誰かを救うことができる
嬉しくて仕方なかった
私はAみたいにはなれない
それでも、私にもできることがある
この腕で、誰かを救える
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「───桜さん、師範が患者さんの薬を調合しておいてほしいと」
「ああ、わかりました、ありがとうございます、カナヲさん」
「……それと、あの、」
「?どうかしましたか?」
カナヲさんが俯いて言いづらそうにしている
私は少し屈み、彼女の顔を覗き込んで問うた
「……か、カナヲ、って、呼び捨てで大丈夫です
あと、敬語は、いらない、……です、」
「!!ふふ、」
私は一瞬驚いたあと、笑みを零した
かわいい
まるでもう1人妹が出来たみたいだ
「ありがとう、わかったわ、カナヲ
私のことも、桜って呼んで!」
「……わ、わかった、桜」
照れくさそうに私の名を呼ぶカナヲをみて、思わず頭を撫でてしまう
「…さ、桜?」
「…あ、ああ、ごめんね、つい、嫌だった?」
「……嫌じゃない」
………か、かわいい
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作者名:ティアー | 作成日時:2019年9月29日 15時