拾壱 ページ14
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その日は、柱合会議が行われる日だった
不死川に御館様へのご挨拶をとられ、宇髄天元は胸中で舌打ちをする
ふと、一瞬だけ妙な音を感じ取る
柱と御館様、御息女ら以外に一人分
一人だけ酷く薄く小さな音だった
「……っ!」
周りを見渡せば、胡蝶の隣に女がいる
今の今まで
全く気付かなかった
あまりにも薄い気配と音
横顔は何も映さず、何を考えているのか全くわからない
「ではこれにて私は失礼致します」
その低く落ち着いた声で話を締め
気付いた時にはその場から立ち去っていた
「……なァ胡蝶、あの女、一体何者だ?」
「…というのは、Aちゃんのこと?」
柱合会議を終えたあと、宇髄天元は即座に胡蝶カナエの元へ歩いた
ただの好奇心でもあり、それは恐怖でもあったのかもしれない
今まで数々の死線をくぐり抜け、柱にまでなった自分が察知できなかった気配
それがただのいち隊士など
「ふふ、驚いたでしょう、彼女、酷く気配が薄いのよ
それでいて他人の気配を感じ取るのがすごく上手なの
私の継子になってくれないかしら」
「……へぇ、ド派手に地味だな」
「……それ、どういう意味なの?」
その何も映さない瞳が鮮明に浮かぶ
まるで新しい玩具を見つけた子供のように心を弾ませる
今度見かけたら相手してやるか
宇髄は楽しそうに笑った
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作者名:ティアー | 作成日時:2019年9月29日 15時