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場面は変わり、マフィア本部ビル内掃除用具室では──────────
敦「探偵社員さん。貴方の異能は姿は消せても、匂いまでは消せないみたいだ」
芥川と谷崎は、敦率いるマフィア戦闘員に追い詰めれていた
敦「だから虎の嗅覚で貴方の匂いを追った。怪我した獲物の匂いを追うのは、肉食獣の得意とするところだから」
入口の向こうで、銃口が芥川たちに向けられる。此処で戦うのならば、此方は圧倒的に不利だ。その場の殺意が膨れ上がっていく中
芥川「く、くく……くくく」
その場に似つかない笑声が響いた。芥川だった
芥川「肉食獣？肉食獣の弱点が判るか、虎。それはな、狩られ慣れていないことだ」
芥川は酷薄な笑みを浮かべる。その目には黒い炎が宿っている
芥川「狩られる獲物が、狩り場で
敦「待っていた？」
芥川「これだ」
芥川は、谷崎が鏡花から奪った旧式の携帯電話を耳に当てた
芥川「夜叉白雪。
敦「なっ」
敦が驚き、芥川に飛び掛かろうとする。芥川はそれを刃で牽制しながら、続けて携帯電話に命じた
芥川「僕がこの声で命じた時のみ、殺害を中止せよ。その一時間、他の声による命には決して応じるな」
夜叉白雪が浮き上がり、まるで命令を押し戴く従者のように芥川の側に寄り添った。その最悪な自体を最初に把握したのは敦だった
敦「しまった………！」
敦は目を見開き、芥川を思い切り睨んだ。芥川は怯みもせず、表情を変えずに淡々と告げた
芥川「さて、虎。状況を理解したか？僕を最上階まで案内して貰おう」
敦「く………！」
芥川が一歩を踏み出すと、戦闘員達が一斉に銃口を芥川に向ける。しかし
敦「全員、銃を下ろせ！」
敦が咆えた。あまりの怒気に室内が震える。当惑する戦闘員達に向けて、敦は、一喝した
敦「銃を下ろせ、今すぐ！判らないのか？鏡花ちゃんの夜叉白雪は、携帯電話からの声にしか従わない！絶対に、どんなことがあろうと！」
芥川「然り。そして一時間後に夜叉は少女を殺す。撤回するには僕の声にて命じるしかない。つまり」
敦「鏡花ちゃんが………人質………！」
芥川「そうだ。如何する、虎？少女を見殺しにし、暴力と支配しか脳のないマフィアの本領を発揮してみるか？」
挑発するように芥川が云った
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作者名：るーりん | 作成日時：2022年12月29日 0時
