夜柱は悲しく輝く

駆け足 ページ41

炭次郎Side
今俺達は、

炭「はぁっ…はぁっ…！」

また走っている。相変わらず涼しい顔のAを先頭に。

鬼の居場所を探るために伊之助の力を借りて、今その方向へ突き進んでいるのだが…

貴「このモジャモジャ、本当に数が多いわね」

飛び出してくるモジャモジャを斬りながら言った。
ときどき色んなところから飛び出してくるけれど、足は止められない。

そのとき、前から吹いた風からとても血生臭い、鬼の匂いを感じた。

炭「…鬼だ！！もう近い！！」

そう言ったとき、目の前に何かが飛び降りてきた。

小さな女の子の、鬼、だった。

鬼「お兄さん達、私達を殺しに来たの…？」

炭「君は…」

その子からは恐怖の匂いがした。

貴「私達ってことは…他にも鬼がいるの？」

鬼「うん、私のお友達が色んなところにいるよ」

にっこりと笑顔で答える。するとAが静かにその子の頸を斬った。

炭「A…！その子は…！」

貴「鬼であることに変わりはない。どんな鬼であろうと関係ないわ。…行きましょう」

後ろでバタリと倒れる女の子を横目にそう言った表情は、目に光はなく、とても冷たいものだった。

…まただ、とても悲しい匂いがする。

善「悲しい音…」

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