夜柱は悲しく輝く

この村 ページ27

貴方Side
私達を出迎えてくれた若葉さん。
確かに鬼の気配はしないし普通の人間だけれど、
どこか表情が悲しげだ。

貴「若葉さんは、ご結婚はされていないのですか？」

若「はい…。婚約している方はいます」

貴「あら、それはおめでとうございます」

若「ありがとうございます」

少し照れた顔ではにかむ。

貴「話が変わりますが、この村で起こったことについて教えて頂けますか？」

若「はい…。初めてこの村で女の人が消えたのは1週間ほど前です…。それから毎晩、2人ずつ若い女性が消えていって…昨晩は私の友人が…」

ぎゅっと膝の上の手を握りしめて、若葉さんはうつむいた。

そして震えた声で話続けた。

若「昨晩は、私とその友人は2人で散歩しておりました。2人とも結婚前ということで、大変話が盛り上がってしまって…家に帰る道中、突然目の前を黒い影が横切って…はっと横を向いたときにはもう…」

貴「横切った影の姿は見ていないのですね？」

若「はい…全く。とても速くて見えませんでした」

貴「なるほど…。目の前で友人を失い、さぞ辛かったことでしょう」

若「…」

貴「もう大丈夫ですよ。私達が必ず、解決してみせましょう」

若「Aさん…すみません…」

貴「いいのよ、思いっきり泣いて」

若「いえ、大丈夫です…あの、よろしければ今夜はうちに泊まっていかれませんか？」

貴「いいの？」

若「はい、ぜひ！」

若葉さんは涙をぬぐって、笑顔で頷いた。

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