夜柱は悲しく輝く

鍛錬（炭次郎編） ページ19

炭次郎Side
炭「よろしくお願いします！」

貴「よろしくお願いします」

すかさず斬りにいった。でも、どんなに連続で斬りかかろうと、掠りもしない。

貴「いい筋ね、その調子」

炭「早くて…！全然当たらない…！」

貴「炭次郎、呼吸を使ってみてくれる？」

軽々と避けながらAは言った。

炭「それは…！」

貴「いいのよ、さあどうぞ」

一旦距離を取って向かい合う。

炭「水の呼吸、参の型、水車…！」

真っ直ぐ、飛び上がって頭上から斬りかかった。

カァン！っと木刀がぶつかる音がした。

…避けもせず、俺の技を木刀で受け止めたなんて…信じられない…！

貴「惜しい…」

炭「そんな…木刀1本で技を…」

貴「見て、炭次郎。この木刀の半分まで炭次郎の木刀が入ったんだけど、この割れ方。ボロボロでしょう？」

善「木って普通、割れたらそうなるんじゃ…」

貴「これ、持ってて」

木刀より少し太めの棒を横向きにもたされた

善「何するの！？」

貴「夜空の呼吸、肆の型、日食」

体を大きく右に捻り、左足を軸にして1回転すると、一瞬金の光の輪が見えた。

閉じてしまった目を開くと、棒がきれいに真っ二つだ。ささくれひとつない、綺麗な断面。

善「すごい…」

貴「炭次郎は勢いに任せて呼吸を使ってるところがあると思うの、あとはそのせいで刀の軌道がブレてるわ。きちんと落ち着いて、感情も抑えてね」

炭「はい！」

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