＃１６ ページ17
あなたside
大きな、筋張った手がゆっくりと近づいてくる。
改めて彼の体格の良さを実感した。
覆い被さるように囲われては逃げ出すことなどできやしない。
分かってくれた、なんて。
私の思い込みだった？
恐怖に身体が硬くなる。
「そんな顔をするな...」
思わず目を閉じると、想像よりも優しい声が降ってきた。
目を開けると同時に口を右手で塞がれる。
「静かに」
混乱でバクバクいっている自分の心臓の音がうるさい。
彼の左手が私のシャツの襟を撫でて、
パキンッ
破壊音とともに離れる。
「驚かせてしまったな。すまなかった」
「えっなに...それ...もしかして...」
「盗聴器だ」
おそらく、降谷くんが仕掛けたんだろう。
まるで何でもないようにそう言って、赤井さんはただの金属に成り果てたそれを捨てた。
「気がつかなかった...」
というか！怖！！！！いつ仕掛けたの！？
ゼロ怖すぎ...
あと、
「殺されなくて良かった...」
今更、力が抜けて扉に寄りかかるよう座り込んだ。
本当に怖かった。油断した。
大学院生の仮面を被っていても、彼はFBIの捜査官であることを思い知る。
次は間違えない。
冷たくなった指先を握りしめ、肝に銘じる。
「殺さないさ。それにアレがあっては、俺も話せない」
いつのまにか変成機を解除した赤井さんが手を差し伸べてくる。
その手を借りて立ち上がれば、柔らかなエバーグリーンが楽しげに輝いた。
「聞きたいことが山のようにあるんだが...答えてくれるな？」
好奇心に満ちた瞳。
こういうところはコナン君に似ているな。
なんて、場違いなことを考えてしまう。
「答えられる範囲でなら」
そう言うと彼は楽しそうにまた、挑発的な笑みを浮かべた。
終わり
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作者名：真 | 作成日時：2018年3月18日 0時
