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#12 ページ13

安室side

カツカツと、自分がハンドルを叩く音がやけに響くような気がした。

工藤邸から少し離れた場所。そこにRX-7を停めて風見からの連絡を待つ。

いつもなら、人物照会などすぐ終わる。

ものの数分で片付く仕事のはずだが...

工藤邸の様子を伺ってはいるが、あの少年がいるのだ。

用心深く、隙がない。

赤井秀一の尻尾はなかなか掴ませてくれそうになかった。

微かな疲労感に目頭を抑えた時、ポケットに入れたスマートフォンが振動する。

風見からの着信。

彼女の情報についてだろう。

データの添付ではなく、通話ということは何かあるのか...

「僕だ」

『降谷さん、先程送られてきた写真の女性についてなのですが...』

「あぁ、身元は分かったか」

『分かるには分かりましたが...少々妙なことになっています。データをそちらに添付しますが、その前にお耳に入れておきたくお電話させていただきました』

風見から伝えられた情報に、思わず「本当か」と聞き返してしまった。

今まで部下が間違った情報を寄越したことはない。

しかしこれは...

『本当です。その女性は数年前に死亡した、と記録されています』

例の組織に関する事件で。

付け加えられた言葉に思わず目眩がする。

なんて厄介な女性を連れ込んだんだあの少年は!

『降谷さん?』

こちらの沈黙を怪訝に思った部下が声をかけてくる。

「大丈夫だ。僕のほうでも色々調べてみる。また頼むよ」

『了解しました』

通話が終了したスマートフォンに、データが送られてくる。

戸籍と、簡潔な死亡診断書。

そして、組織と関連していたという報告書。

「これは...ずいぶんと長丁場になりそうだな...」

ひとり呟いた言葉は誰にも届かず消えていった。

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設定タグ:名探偵コナン , 赤井秀一 , 安室透   
作品ジャンル:アニメ
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作者名: | 作成日時:2018年3月18日 0時

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