純白の天使 (ページ19)

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19話ページ19

長い開催者の演説も終わり、今はそれぞれダンスや食事と言った貴族交流会ならではの場の雰囲気だった。それぞれ代わる代わるにグルッペンも元に寄って来る貴族にレイは緊張気味で挨拶を繰り返す。

「まったく…」

「今日もアプローチがすごい事で。」

「財産の次は面倒見が良いか…」

「だ、大丈夫…？」

「嗚呼平気だゾ。レイこそ足の方は大丈夫か？」

「うん。へいき」

白のテーブルクロスの上には様々な料理がバイキング式で並べてあった。貴族の者達は小さな皿に乗せて持って行く姿を見てレイは少し違和感を覚えた。
一流コックが作ったであろう料理に、レイは食欲が湧かず寧ろ減る一方だった。

「何か食べるか？」

そう効くグルッペンにレイは首を横に振る。
心なしか顔色が悪いようにも見える。

「どうした。具合が悪いか？」

「…あの料理。」

「ん？やっぱり食べたいか？」

「ううん…えっと…たべちゃだめな気がするの…」

「…？どう言う事だ。」

眉を顰めるグルッペンにレイは答える。

「ねぇ…＜変なにおい＞がするの…それで、ずっとあたま痛くて…」

そう言うレイに三人は首を傾げた。
そしてオスマンが口を開いた。

「香水か？」

「いや、香水関連の騒動は無いぞ。とうの昔に化粧品類に関しては監視が厳しくなったらしい。過去に毒を盛った馬鹿がいたらしくてな。」

「やっぱり、きのせい…かも…」

「いや、無理せんでええよ。」

「トン氏はどうだ？」

「子供だけが分かる特有の匂いとかか？でもなぁ…」

「どんな匂いがするん？」

「なんか…あの時とおんなじにおいがするの…」

「あの時…火事の時か？」

「ううん…ぞみゅさんと出会った時とおんなじにおい。」

「闇商売の時のか？…何か覚えているか？」

「ごめん。俺に関してはそう言うのは担当やないし…」

「現場捜査官は主にゾムやチーノやしな…あ、分かったぞ。」

思い出したのかトントンは辺りを見渡し少し端に寄るように移動し、小声で言った。

「現場に闇商売供がヤクをやってた痕跡があったんよ。ほんで、レイちゃん達のいた部屋の一室一室に換気扇が付いてな、そこから極数量のヤクの反応があったんよ。身体の害が少ない程度に定期的に流しておったらしいで。」

そう言うトントンに目を合わせる二人。
レイは不安そうにグルッペンを見ていた。

「ここのオーナーはどんな奴だ。」

「一流業界のボンボン息子。理解は出来る方らしいで。信用はならんけど。」