37話 ページ37
「話を聞こうか。マンちゃん。」
「流石はA先輩やな〜」
「君が先輩なんて言うと虫唾が走るね。」
「酷いなぁ。」
「回りくどいんだよお前は。」
この魔獣はイラついている。ヒシヒシと伝わる殺気。気を抜いたら食べられそうだ。
「私は今すこぶる機嫌が悪い。」
「そうなん？」
「私をどうしたい。どうして消滅を許してくれないのかな。」
「俺が最も尊敬するから。そんな理由や駄目？」
「可愛く強請るな。奇形め。」
「酷いなぁ。泣いちゃうでぇ？」
これは相当怒っているんだろうな。現在同時進行でロボロをAの家に侵入させゾムと接触しているはず。
全てはグルッぺンの計画通りだ。
「君が尊敬しているのは私じゃないだろ。」
「なんで今その話をするん？本題に入られへんで。」
「グルッぺンの所に行かせろ。」
「却下や。今のあんたは無理やで。地位を離したんやから。」
アンバー色の目が鈍く光る。これは殺される。
「やっぱり怖いわ〜」
その一言でAの胸には刀が刺さっている。目の前には鋭い爪。結構ギリギリだったみたい。
「私をどうするつもりだ。」
「生かすだけやで？」
ジュワジュワと蒸発する音が聞こえてくる。ヌルッと引かれる刀にストンと座った。そして虚ろげな目で見てくる。
「この悪魔。」
「それはあんたもやろ。」
「何百年も存在がないまま生きてみろ。」
「うーん、それは嫌やな。」
「生意気だな。」
「可愛いって言ってくれてもええんやで？」
睨み続けた後ため息をついた。
酷い態度。
「何百年も存在がないまま生き続けた結果だよ。」
「見つけても良かったんやない？」
「見つけられなかったからなんだろうに。癪に障る。」
「じゃあ、それまで寝てようか。」
指を鳴らすとひとらんは刀を素早く振る。そしてAは糸が切れたかのように倒れ込んだ。殺してはいない。ただ今は面倒臭いから眠ってもらうだけ。
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作者名：更新不定雑飽子 | 作成日時：2020年8月26日 18時
