24話 ページ24
「......」
『....』
目の前のちっこいやつはAがついさっき可愛がってたやつだった。確かに俺よりチビだし小さい。俺の方が身長でかいし頼りがいがあるはず。Aよりかは小さいけど。
「ちっこい癖して...」
『うわっちょ...』
「なんでや」
『いたい。ちょ、はして、にんげんのくせして...!!』
もちろんこのチビ悪魔が言ってることはわかる。けど相手は俺の言葉を理解出来ない。
「俺の方がお前より傍におるし。」
『はなせにんげん!!』
「ふーんだ。誰が離すかばーか。」
『おまえ..!!もう、なんでつうじないんや!』
「猫みてぇ...」
首の根っこを掴めばバタバタと猫みたいに暴れる。ちっこい手足で俺の手をどかすことも出来ない。面白い格好だ。
『なんだそのめ!!』
「生意気やな...」
「なか良さソウやな。」
「どこが?」
「まあマア、ゾムもソない拗ねんデモええやん?」
「あら、拗ねてたの?」
「拗ねてないわ。」
チビはそのままコネシマに回収され帰って行った。と言うか来客が多い気がする。
「にしても、拗ねてたのか〜」
そう言ってにやにやしながら尻尾をブンブン振っているAの姿があった。顔が熱くなる感覚がぶわっと広がり顔を逸らした。
「ごめんね〜?可愛いからさ、ちっちゃい子。」
「俺もうチビやないし。」
「ふふ、そうだね。」
ふんわりとした感触が後ろから伝わる。甘くて頭がクラクラするような香り。身体全体が動かなくなる代わりに心臓がバクバク鳴っている。
まただ
またこの不思議な気持ちだ。
「ゾムはあの時よりも成長したもんね。」
やけにはっきりと聞こえる自分の名前。
しばらくは頭から離れなかった。
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作者名：更新不定雑飽子 | 作成日時：2020年8月26日 18時
