脅威少年と気まぐれ狼さん (ページ23)

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23話ページ23

『どうかあいつの消滅を止めてくれ。』

グル氏が俺らに言ったその言葉。だがその意味は嫌という程理解した。恩師のタイムリミットが近いと言う事に。

『ショッピ君、今から俺の恩師のところに連れてったるわ!!』

『いやいいっす。』

『そうかそうか!!会ってみたいか!!』

『そういういみじゃ...うわ?!はなせ!!このクソせんぱい!!』

ちっこい餓鬼で俺の後輩。恩師に憧れてこいつを選んだ。生意気やけど、まぁまぁ期待出来る能力の持ち主である。

「遊ビに来たデ!!」

「はーい、今行きますよ。」

大丈夫だ。まだ恩師は考えているだけで実行しようとは思っていない。大丈夫、俺なら出来る。俺らなら、育てられた俺らだけでも出来るはず。

『なんでじんごではなしているんっすか。』

『恩師は元番犬で下界におるからのう。今はこうして人間として生きてるんよ。』

『え!?もとばんけんさま...!!』

「いらっしゃーい...あら、その可愛いおしりを向けている子は?」

「後輩ヤ。」

「そっか。でもそんな乱雑に扱っちゃあ可哀想よ？」

そう言って俺の腕からショッピ君が離れる。目をこれでもかと開き恩師を見ていた。

『どうも、坊や。』

『はじめまして.....』

『クリクリして可愛いね～!!』

恩師はどうやら後輩が気に入ったそう。
ゾムからの視線はすごいが。

「立ち話もあれだから入りなさい。」

そう言って案内されればデカくなったゾムの姿があった。そうか、下界ではあいつはもうそれなりにデカくなるか。

「ヨウ!ゾム。元気にしとったカ?」

「んまぁ...」

「どうしタ?そんなしょぼくれテ。」

「別になんでもないわ。」

そう言ってそっぽをむく。恩師はショッピに夢中だった。

「嫉妬カ?」

「うるさいわ！」

そんなゾムの様子に懐かしさをどこか感じた。でも俺には記憶にない事。恩師が気が済むまでゾムの相手をした。