脅威少年と気まぐれ狼さん (ページ22)

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22話ページ22

『そろそろ決めなければ、お前の命はないゾ。』

『嗚呼…もうそんな時期だっけ。』

『お前の存在ははっきりしていないからな。』

『それは私が嫌でも知ってるさ。』

『あいつにはなんて言うんだ。コネシマ達同様の方法なら早めに言ってくれ。』

その手段は絶対に取らない。
あんなに後悔するんだったら。

トントンとゾムはどうやら人語で会話しているらしい。あの子、人語とか勉強するんだ。
ほぼ使わない言葉なのに。

『結局、お前はどうやって生きる？』

『そのまま…消滅しちゃおっかなって。』

『…気まぐれとやらだったら悪い冗談だな。』

『本当だよ。』

確かに私は魔獣であると同時に人である。神話とかでよくある話だ。人と神聖物のハーフってやつ。私はその魔獣バージョン。主に、母親が。私はそのハーフの娘だからクオーターってやつかな。

『本気で消滅する気か。ゾムやコネシマ達はどうする。』

『ゾムは人間だから記憶から消えるよ。コネシマ達は…多分、お友達とかがなんとかしてくれるでしょ。』

『他人事だな。まるで。育て親とは思えん』

『言ったじゃん。育てるのは気まぐれだって。』

『お前が、どう言う気持ちなのかはよく分かる。』

幼馴染だからな。
だったら、私を自由にして欲しいよ。
存在があやふやだからって制限される事だってない。ペットじゃないんだから。

『どうか、消滅だけは考え直さないか。』

『無理、かも。』

ぶっちゃけ、私の存在維持は共食いだった。文字通りの。人間か魔獣か。そのどっちかを食べて存在を維持する。私の生き方とはそんな仕組みだった。魔界の中ではとてつもない特殊環境だ。

勿論、ゾムに会うまではコネシマ達がいた。
じゃあそのコネシマ達はどうなったのか？

食べたさ。食べてて転生させた。魔獣として。
それぐらい出来る魔力はあったから。
当時のその記憶も残っていない。名残の人語は多分後遺症。

『A。』

『なんだい？』

帰り際にグルッペンが私に声をかけた。

『…今度、コネシマ達が遊びに行くそうだ。後輩を連れて。』

『あら、それはご丁寧にどうも。』

帰る2人を見送ってゾムと部屋に入る。
そう言えばここ最近、ゾムがソワソワしている気がする。思春期ってやつかな？