1話 ページ1
「はいはい。今出ますよ〜」
扉を開ければそこには1人の少年が立っていた。長く伸びきった栗毛の髪の毛に、翡翠の美しい瞳。ボロボロの服は田舎村出身ですと言わんばかりの着古し。
「今日も来たのかい？」
「うん…」
まだ声変わりを迎えていないあどけない声でそう言う。この少年はゾムと言う名で今年で10歳だっただろうか。兎に角、よく私の元に来る少年である。
「坊や、親とかに心配されないの？」
「ううん。おれ、嫌われてるし…あ、あかんかった？」
「別に私は来ても来なくてもどうも思わ無いけど。」
「そ、それって来ちゃダメって事？」
「うーん、人間はそこまで嫌いじゃないし。正直どっちでもって感じかな。」
少年こと坊やとの出会いは森で散策していた時の事だった。それはもう驚きだったさ。こんな所、人間が来れば絶対迷子になる。そんな中傷だらけの足で薬草取りをしていた坊やに出会ったのだ。
勿論保護した。
だってここの森凄い危ないし。
それは地獄の元番犬だったこそ分かる。
「取り敢えず、部屋に入りな。」
先ずはお腹が空いたであろう坊やの腹を満たす為に、具沢山入りのスープとパンを添えて机に置く。あと飲み水。目の前に出された食事を見て坊やの視線は私にへと移り変わる。
「腹が減ったんだろう？食べな。」
そう言うとバクバクと吸い込むように食べ始める。余程腹を空かしていたのだろう。まぁ、貧しい村ならあり得るがな。
「食事は逃げないよ。落ち着いて食べな。」
むせた坊やの背中をさすってあげれば落ち着いて食べ始めた。それにしても本当に骨と皮しかなさそうな身体。折れちゃいそう。
「おかわりするかい？」
「え…いいの…？」
「駄目とは言って無いからな」
「い、いる！」
「分かったよ。」
小さな手から空になった器を貰い、スープを流し込んで渡せばどんどん小さな口に吸い込まれていく。あんな小さな身体に一体どれほど大きな胃袋があるのだろうか。
「坊や、足の傷を見せて。」
「あ、足？」
「どうせ裸足で来たんだろう？傷だらけじゃ、帰って痛いだけだ。」
「う、うん…」
小さくて傷だらけの足を治療していく。包帯で巻いて上げれば不思議そうに足を見る。
「歩ける？」
「うん…痛くない…」
そろそろ坊やが帰る頃だろうか。
こうしていつも食事を食べに来たりしている。
別に嫌ではないから平気だけど。
少し言うならば、死なない程度に頑張ってほしい事だろうか。
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作者名：更新不定雑飽子 | 作成日時：2020年8月26日 18時
