【男主】そんなすごいヒョンじゃない!【TXT】 (ページ41)

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15話（Lovesickツアー）ページ41

※Disney+のドキュメンタリー内容のネタバレを含みます。

いよいよ始まった僕らの初めてのワールドツアー。

未来を知ってるから、ボムギュが体調不良で悔しい思いをすることもわかってた。でも止めなかった、正確には、止めれなかった。

最年長らしく、もっと余裕をもって周りを気遣うことが出来ればよかったのにその時の私は前世で見た通り、もしくはそれ以上の成功を納めなきゃ。そのためには一番足を引っ張る、実力もない自分が一番努力しなきゃってすごいプレッシャーに押しつぶされそうになりながらがむしゃらに練習していたから。

自分のことで精一杯で、まぁそれは割とほかのメンバーもそうだったけれど。ボムギュがコンサート中にステージを去ったことで私の目は覚めた。頭から冷水被ったみたいに冷静になって、何やってたんだってすごい後悔したけれど、まだコンサート途中だ。

随分広くなった視界。クリアになった思考。
とりあえずボムギュのフォローをして、ステージに上がらなきゃ。随分遅くなってしまったけれど、言わなきゃ伝わらないから。

『ケンチャナヨ、ボムギュ。今後もワールドツアーを僕達は沢山するでしょう？長い旅路の中で少し休んだだけ。それに、ボムギュはこの悔しさをバネにもっと大きく羽ばたける子でしょ？絶対大丈夫だから、余計な事を考えるのは今はやめて。しっかり休んで』

彼が安心出来るように、いつもは滅多にしないハグと共に丁寧に言葉を紡ぐ。背中を軽く叩いてから私はステージに戻った。

・

あれからボムギュは少し休んで、体調も随分マシになって、今日は初めてのロラパルーザ出演の日。

前世で見たドキュメンタリーで、スビンがロラパルーザで「僕だけ楽しめなかった」話していたのを思い出して、

ステージはもちろん緊張したけれど、
『スビナ！』
一緒にジャンプしたり、笑いあったりして少しでも前より楽しいって思ってくれるように行動した。

終わった後に聞いたら、
SB「ヒョンのおかげで楽しめました」
って言われて、その言葉ですごく嬉しくなった。

前の私がなんで死んだのか覚えては居ないけれど、

こうやって大好きなTXTの負担を前世の記憶を元に軽くするのが、

私が、俺が、キム・Aとしてメンバーになった意義なのかもしれない。

この役割を残りの日本でのツアーでも果たしていこう！
ファイティン！