【男主】そんなすごいヒョンじゃない!【TXT】 (ページ5)

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3話（審査員side）ページ5

今日はBIG HIT練習生オーディションの日。

膨大な量の受験者のデータを事前に一通り目を通して、実際当日に披露されるのは似たり寄ったりなものばかり……正直しんどい仕事だ。

でも、ひと握りの原石が紛れている可能性があるからみんな愚痴を零しつつなんだかんだやってけてるんだけどね。

今回も似たようなパフォーマンスばかり。同じ曲を選んだ人達が同じアレンジしてくるのは、お手本でもあるのか？なんてイラついていると、少し年齢の高そうな、背の高い男の子の番になっていた。
彼の大型犬のような甘いマスクに目を奪われると同時に、自分の中のストレスがその顔のおかげで消えていくのがわかる。
うん。ビジュアルは合格
「次、君。自己紹介からどうぞ」

『はい。キム·Aです。延世大学1年で、スカウトされたのでオーディションに来ました。歌が得意とか、そういうのは特にないです。』

延世大学！？
事前に確認した時も話題に上がった子だ。スカウトされた頭の良い男の子。実力が未知数な所が不安だったが、彼の堂々とした自己紹介と「得意分野はない」という発言を聞く限り、杞憂だったようだ。

得意分野がないということは、なんでもできるオールマイティな人物だということ

自己紹介で言えるほど自信があるなら、お手並み拝見と行こうかな。

『〜〜〜♪♪』
彼が歌い出したのは、まさかの英語曲！
今までも英語の曲を歌う子はいたけど、発音が微妙だったり、そこに気を取られすぎて感情がこもってない子が殆どだった。

彼の歌声は、海外留学経験のある審査員も頷くほど発音が良く、何より英語が苦手な私でもどんな雰囲気の歌なのかわかる感情のこもった歌い方だった。

これは、歌声も満点だ。これほど個性があって語学も堪能なメンバーはグローバルに活躍する予定のTXTには必要だろう。

審査員全員、彼を合格させる方針で固まった。今はもっと彼の実力を測りたいため、ダンスの披露を頼んだところだ。
フリーダンス！？自己紹介から滲み出ていたが、彼の自信に満ちた態度はいい。アイドルに向いていている性格だ。

彼のフリーダンスは美しいの一言に尽きた。
準備してないという言葉が嘘じゃないかと思うほど心地よい音ハメに指の先まで神経を尖らせた繊細な動き。ダンスと言うより舞を見ているようだった。

性格もダンスも合格。
全てが突出している。秀でている。

大学生になるまで見つからなかった、美しい原石。
彼がこれからどんな輝き方をするのか、楽しみだ。