【男主】そんなすごいヒョンじゃない!【TXT】 (ページ36)

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14話（🐰side）ページ36

SBside

今回は、失恋して自暴自棄になって何もかも壊してやる！って感じの強めのコンセプトでカムバックすることになった僕達だけど、僕にはずっと不安なことがあった。

それは、僕があまり怒ったりとか荒れる？って感情を抱いたことが人生でそんなにないし、顔立ちも自分で言うのはなんだけど清涼で純粋な感じだから、オラオラ系？みたいなこのコンセプトを上手く表現できるか心配ってこと。

鏡の前で練習したり努力はしたけれど、不安を抱えたままMVのソロ撮影の日を迎えた。

案の定、鏡を怒りに任せて割るシーンやカメラを睨みつけるシーンが上手にできなくて、カメラ監督さんから何度も何度もリテイクを求められて、上手くできない自分に落ち込むし、スタッフさんにご迷惑をかけてしまってるのも申し訳ないし…

どんどん気持ちが萎んで落ち込んでいる僕の気持ちを切り替えるために休憩が挟まれた。

どうしよう、上手くやらないとなのに……あんなに練習したのに、そもそも怒るってどうやってやれば？

ぐるぐる1人で思考の渦に囚われていってしまいそうだったその時、

『スビナ、お疲れ様。』
金髪で優しく僕の悩みを聞いて、アドバイスまでして僕の撮影の後押しをしに来てくれたAヒョンは、髪色も相まって天使みたいに見えた。

・

Aヒョンのおかげで撮影はスムーズに進み、お礼は宿舎に帰ってからちゃんと言ったけど、こんなに優しいAヒョンも明日の個人撮影、ちゃんと怒れるのか？僕にアドバイス出来るくらいだし、凄い器用な人だから上手にやるんだろうけど……気になる。

ということで、今日は僕がAヒョンの撮影現場を見学することにした。

少し長めのブロンドスタイルはAヒョンのオーラを倍増させてて、なんか、触れたら怪我しそうな雰囲気と、儚さも少し感じて、今回のコンセプトにピッタリのスタイリングになってる。

『スビナ、来てくれたの？ありがとう〜』
撮影前まではそうやってニコニコと笑ってたのに、

＿よぉーい､アクション
カメラが回った途端、初めて見るような眼光の鋭さ、関わるもの全てを拒絶するかのような瞳、怒りに満ちた雄叫び、容赦なく破壊される小道具

見てると、何だかその怒りが僕に向けられてるような、とにかくものすごく怖くて怯えてしまうと共に、そうじゃん、このヒョンは切り替えの鬼なんだから心配は無用だったな…って思い出した。

……ほんとめっちゃ怖い。何を思い出せばあんな表情ができるんだ？