[病 続] ページ11
ジェシーside
ジェ『A!俺、剛くんと一緒にSHAKE歌えた!』
今日も眠っている彼女に会いに来て、こうやって話しかける。
こうすれば、彼女も生きてるって感じられるから。
ジェ『剛くんと手繋いで愛のかたまりも歌えたし、俺のネタでも笑ってくれたんだよ、ほんと嬉しすぎてやばい笑』
ぎゅーって手を繋ぎながら話すと、ちょっとだけ心拍数が上がるの。照れちゃってかわいいよね。
ジェ『こうやって手繋いで、剛くんと階段を降りながら歌ってたの。Aにも俺Ver.の愛のかたまり、聞かせてあげる!』
他の病室の患者さんに迷惑がかからないように、なるべく君だけに聞こえるように、小さな声で歌う。
君に教えたいもの、見せたいもの、たっくさんあるんだよ。
だから、もう起きてくれてもいいじゃんか…。
ジェ『ねぇ雪が落ちてきたよ…』
俺が愛のかたまりを歌うと、必ず君が続きの歌詞を歌ってくれた。
でも、今の君は歌ってくれないんだ。
彼女の頬にぽたぽたと零れていく涙から目を背けるように抱きしめると、何かが俺の頭にぽん、と乗り、撫でられる。
………撫でられる?
『………こどもみたい、に、あまえる、かおも、』
ジェ『………へ、』
『きゅうに、おとこらしくなる、かおも、』
『あたしにはすべて、が、たからもの、』
『いくどとなく、みさせて……』
そこには、俺の大好きなふにゃ、とした笑顔を浮かべる彼女がいた。
ジェ『A…!!!!』
『…じぇしー、おはよう』
ジェ『っ、遅すぎて、おそようだよ、こんなのっ、、』
『んふふ、ごめんね』
ジェ『Aのバカ、バカバカバカっ、
俺、皆とデビューしちゃったよ、夢、叶えちゃったよ、』
『うん、しってる、』
『じぇしーのこえ、きこえてた、』
『わたしもみたかった、いっしょによろこびたかった、』
ジェ『……A、』
『……ずっといっしょにいてくれて、ありがとう、
おそくなっちゃって、ごめんね。』
ジェ『…俺、うさぎさんだからね、』
『うん』
ジェ『寂しくさせたら死んじゃうんだからね、』
『うん』
ジェ『……もう、俺から離れないでよね、
死ぬまで、死んでも、ずっと一緒にいてよね、』
『……ふふ、だぁいすき』
ジェ『俺は、愛してるよ。』
人生で一番、暖かいキスを交わした。
Episode5.5
【最後の人に出逢えたよね】
END
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作者名:蒼崎雷 | 作成日時:2021年11月8日 23時