第203話《待ち人》 ページ10
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そして確か、あの映画を観た後に何気なく言った筈だ。
スタークさんなら、タイムマシンくらい簡単に作れてしまうでしょうね、と。私の突拍子もない戯言に呆れつつも、真面目に考えてくれていた彼の姿が蘇る。
"______お嬢さん、期待しているといい。"
『……期待しても……いいんですか……』
もし、もしも。彼が既にタイムマシンの理論を構築してくれていたら？データさえ残っていれば、確実に何らかのヒントとなり得るだろう。
私はダメ元で機械に触れ、希うように息を吸い込んだ。呼ぶのだ、あの星で彼と共に散ってしまった、AIの名を。
『フライデーっ！』
誰もいない部屋に、私の呼びかけが反響する。
しかし待てども待てども返事はない。やはり駄目だったのかと落胆し、行き場のない悔しさに拳を握り締めた次の瞬間。
《______彼女は現在出払っている為、ご用件は私に申し付け下さい。》
突如として降り注いだのは、柔らかで心地良い男性の声だった。予想外の展開にポカンと口を開き、天井を見上げる。
この声を、私は覚えている。でも何で……
『……ヴィジョンさん？』
《ヴィジョンではありません。私はジャービス、トニー様の専属AIです。》
『ジャービス……ジャービス？』
子供のようにオウム返しをする私に、彼は《はい。》と冷静に答えた。しかし疑問が更なる疑問を呼ぶ。
『確かスタークさんが……ヴィジョンさんを構成する為に一部として組み込んだって』
《彼が破壊された際、分離したようです。私も損傷を負った為、ここで修復に当たっていました。》
『今までずっと？』
驚きながら問いかけると、またもや平然とした態度で《いいえ。》と一言。
《修復自体は17日と5時間3分20秒で完了しましたが……
仕えるべき方が不在の場合、我々に出来る事は待機のみです。》
つまり彼はずっと此処で、独りスタークさんの帰還を待ち続けていたのだ。私は胸に迫る物を感じながら、慎重に口を開いた。
『ジャービス、聞いて。
貴方の大切な人を、取り戻せるかもしれないんだ。お願い。私達に力を貸して』
頼む込んだ瞬間、重い沈黙が流れ出す。それはまるでジャービスの葛藤を示しているようだった。当然だろう。彼の主人はスタークさんであって、決して私ではないのだから。
断られても仕方ない。内心ある程度の妥協をしつつ、私は彼からの返答を待った。すると数秒後、あの柔らかな声が再びラボに響く。
《……可能な範囲の事であればお手伝いしましょう。》
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vanny(プロフ) - Unknownさん» トニー推しの身としては、解釈が合うと言って頂けて一安心です笑これからも頑張って創作に励みますね！素敵なコメントありがとうございました。 (8月30日 12時) (
レス) id: e2f2cf9807 (このIDを非表示/違反報告)
vanny(プロフ) - Unknownさん» このような長い物語を呼んで頂き、本当にありがとうございます。絶対完結させるぞ…！と意気込んで必死に書いて来た日々が報われたような気分です😢私の作品がUnknownさんのお目に止まり、少しでも要望を叶える事が出来ていたのであれば僥倖です。 (8月30日 12時) (レス) id: e2f2cf9807 (このIDを非表示/違反報告)
Unknown(プロフ) - そして、3年という長い年月をかけてまで完結してくれたことと、自分の中でのトニースタークの解釈と本当に一致していたのが嬉しいです笑これからも、素晴らしい作品を生み出してください。 (8月29日 0時) (レス) id: 15fcef644d (このIDを非表示/違反報告)
Unknown(プロフ) - 本当に素晴らしい作品で、一気に読んでしまいました。私もトニースタークの哀しい人生に何か救いがあればいいな、と思っていました。このような本当に素晴らしい作品に出会えた自分の運、そして、作ってくださったことに心から感謝したいです。 (8月29日 0時) (レス) @page49 id: 15fcef644d (このIDを非表示/違反報告)
vanny(プロフ) - stupidさん» お気になさらず〜！日常系ですね！分かりました👍ありがとうございます！ (2023年2月11日 12時) (レス) id: e2f2cf9807 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：vanny | 作成日時：2022年3月16日 13時
