第199話《5年後》 ページ6
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老朽化の進んだビル街の向こう。陽の差さない路地裏の冷たい地面の上で、重なり合うかのように十数名の人間が倒れ伏している。その誰もが、足先から頭に至るまで真っ白な霜が覆い、まさに凍死体のようだった。
「このヒーロー気取りがァッ！！」
男が大きく右腕を振り上げた。その拳をすかさず捕らえ、無防備と化した脇腹に膝を突き立ててやると、ぐうっ！という苦しげな呻きが耳元で響く。まずは一人。
対象の無力化の成功に息を吐く間も無く、私は背後から別の敵が繰り出した蹴りを避け、お返しとばかりに氷を纏わせた拳で顎を殴り飛ばした。奴が気絶したのを横目で確認し、今度は側方から顔面めがけて迫り来るサバイバルナイフを肘で弾く。
ところが。
『っ、く……っ！』
肘打ちで出来てしまった隙を見逃さなかった敵は、素早く予備のナイフで私の首元を切り裂こうとした。寸前で刃の部分を握り締め、何とか防ぎ切る。そのまま力任せにナイフを奪い取り、空高く放り投げた。
手の平を滴り落ちる血の感覚に眉を顰めながら、私は敵の頚椎を狙って回し蹴りを食らわせた。敵は一度地面に倒れ込んだものの、フラつきながら起き上がる。
しぶとい。だが、そろそろ潮時だ。
『失神したら良かったのに』
「ああ"っ！？何言って＿＿＿＿」
鋭く敵を睨み付けた途端、バキバキ、パキッ、ピキ……という氷の嘶きが部屋中に響き渡る。そして瞬く間に巨大な氷雪の檻が出現し、目にも留まらぬ速さで敵を飲み込んだ。
吐いた息が、白く煙る。
『痛い？』
四肢が凍り付き、身動きの取れない男に問う。このままでは数分も経たない内に凍傷を起こし、皮膚は剥がれ、肉は腐り、取り返しの付かない状態となるだろう。敵は単に寒いだけなのか、それとも恐怖しているのか、ガタガタと震えながら此方を見つめた。「助けてくれ」と顔に書いている。
私は霜が降りた床にドカリと座り込むと、悴み上手く動かせない指先でインカムを操作した。そして、溜息混じりに報告をする。
『＿＿＿＿状況、終了しました』
＊
帰還した私を出迎えたのは、怖い顔をしたナターシャだった。彼女が何かを言うよりも早く、私は口を開いた。
『人数が限られているんです。動かなければ被害が増えるだけですよ』
「だからって単騎で乗り込むだなんて無謀よ」
『相手はただのマフィア崩れなのに？』
ハッと唇の端を上げる。そして足早にナターシャの隣を通り過ぎようとした瞬間、彼女が一言呟いた。
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vanny(プロフ) - Unknownさん» トニー推しの身としては、解釈が合うと言って頂けて一安心です笑これからも頑張って創作に励みますね！素敵なコメントありがとうございました。 (8月30日 12時) (
レス) id: e2f2cf9807 (このIDを非表示/違反報告)
vanny(プロフ) - Unknownさん» このような長い物語を呼んで頂き、本当にありがとうございます。絶対完結させるぞ…！と意気込んで必死に書いて来た日々が報われたような気分です😢私の作品がUnknownさんのお目に止まり、少しでも要望を叶える事が出来ていたのであれば僥倖です。 (8月30日 12時) (レス) id: e2f2cf9807 (このIDを非表示/違反報告)
Unknown(プロフ) - そして、3年という長い年月をかけてまで完結してくれたことと、自分の中でのトニースタークの解釈と本当に一致していたのが嬉しいです笑これからも、素晴らしい作品を生み出してください。 (8月29日 0時) (レス) id: 15fcef644d (このIDを非表示/違反報告)
Unknown(プロフ) - 本当に素晴らしい作品で、一気に読んでしまいました。私もトニースタークの哀しい人生に何か救いがあればいいな、と思っていました。このような本当に素晴らしい作品に出会えた自分の運、そして、作ってくださったことに心から感謝したいです。 (8月29日 0時) (レス) @page49 id: 15fcef644d (このIDを非表示/違反報告)
vanny(プロフ) - stupidさん» お気になさらず〜！日常系ですね！分かりました👍ありがとうございます！ (2023年2月11日 12時) (レス) id: e2f2cf9807 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：vanny | 作成日時：2022年3月16日 13時
