第231話《死闘、その果てに》 ページ38
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サノスとの交戦を繰り広げる傍らで、現状の把握を努める。エネルギーも、ナノ粒子の残りも僅かだ。あまり悠長に戦っていられる暇はない。例えストーンがサノスの手に渡る恐れが消えたとしても、どの道……
「(このまま消耗戦が続けば、犠牲が増える一方だっ！)」
抑え込めてはいる。間違いなく、前回の戦いよりも此方が優勢だ。だがこのまま押し切れるかどうかは定かではない。何か決定的な勝利への一手が必要なのは明白だった。
「(あの子は、Aは、無事だろうか……)」
一人でストーンを抱えて、苦戦を強いられていないだろうか。ただでさえ力の副作用で身体も辛いだろうに、あんなにも沢山の怪我を負っていたのだ。やはり一緒に居た方が良かったのではないだろうか。
悔恨が思考を遮っている事に気付き、自戒する。今は、目の前の敵に集中しなくてはならない。
「私は、絶対なのだッ！」
サノスが振りかぶった大剣を、咄嗟に盾で受け止めようとした瞬間だった。
＿＿＿＿＿パチンッ。
何かが弾けるような、いや、もっと軽い。誰かが指を鳴らすような、そんな音が聞こえた。軽やかな音が戦場を駆け巡ると、途端に辺りを停滞していた重い空気が晴れていく感覚を覚える。
すると突然、周囲を取り囲んでいた敵軍がたちまちにザラザラと崩れ始めた。まるで五年前の僕らのように。
その様に敗北を悟ったのだろう。サノスは呆然と剣を落とすと、疲れ切った表情で瓦礫に座り込んだ。そして数秒も経たぬうちに、その末端から原型を失っていき＿＿＿ついに、サノス達は残さず塵と化した。
戦いの爪痕により、そこらかしこで炎の燃え盛る音が聞こえる。それを除けば一帯はシンと静まり返り、先程の騒乱が嘘のようだ。
「……A……Aっ！」
不意にゾクリと背筋を登った寒気に、最悪の事態が頭を過ぎる。一心不乱に彼女の名を呼び、もつれそうになる足でタイムマシンがある場所へ走り出した。
A、僕は君に、伝えたい事が沢山あるんだ＿＿＿＿＿＿
＊
瓦礫に雪が降り積もっていた。
雪はドロドロと溶け始め、泥と血と混ざり濁りきっている。
理解の追いつかぬまま、彼女の元へ駆け寄った。
何処もかしこも真っ白で、まるで雪を欺くかのような身体を抱き起す。
呼吸をしていない。
冷たい。
つめたい。
何の温もりも、感じない。
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vanny(プロフ) - Unknownさん» トニー推しの身としては、解釈が合うと言って頂けて一安心です笑これからも頑張って創作に励みますね！素敵なコメントありがとうございました。 (8月30日 12時) (
レス) id: e2f2cf9807 (このIDを非表示/違反報告)
vanny(プロフ) - Unknownさん» このような長い物語を呼んで頂き、本当にありがとうございます。絶対完結させるぞ…！と意気込んで必死に書いて来た日々が報われたような気分です😢私の作品がUnknownさんのお目に止まり、少しでも要望を叶える事が出来ていたのであれば僥倖です。 (8月30日 12時) (レス) id: e2f2cf9807 (このIDを非表示/違反報告)
Unknown(プロフ) - そして、3年という長い年月をかけてまで完結してくれたことと、自分の中でのトニースタークの解釈と本当に一致していたのが嬉しいです笑これからも、素晴らしい作品を生み出してください。 (8月29日 0時) (レス) id: 15fcef644d (このIDを非表示/違反報告)
Unknown(プロフ) - 本当に素晴らしい作品で、一気に読んでしまいました。私もトニースタークの哀しい人生に何か救いがあればいいな、と思っていました。このような本当に素晴らしい作品に出会えた自分の運、そして、作ってくださったことに心から感謝したいです。 (8月29日 0時) (レス) @page49 id: 15fcef644d (このIDを非表示/違反報告)
vanny(プロフ) - stupidさん» お気になさらず〜！日常系ですね！分かりました👍ありがとうございます！ (2023年2月11日 12時) (レス) id: e2f2cf9807 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：vanny | 作成日時：2022年3月16日 13時
