第196話《無為》 ページ3
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「落ち着いて、彼女から大体は聞いたわ。あと……ごめんなさい。勝手に貴女の情報を見させて貰ったの」
医務室に保存されていたカルテを片手に、彼女は申し訳なさそうに謝った。だから名前を知っていたのかと納得しつつ、私は首を横に振る。
「……話を戻すわね。こっちの被害も甚大よ。動けそうなら、一緒に来る？」
改めて互いに自己紹介を交わした後、ロマノフさんは静かな声でそう言った。それは暗に「覚悟はあるか」と問われているかのような気がして、私は一度喉を鳴らした。
怖い。でも。
『行きます』
力強く答えた私に、彼女は少し微笑んだ。
＊
部屋に入ると、一斉に視線が集まってくるのを感じた。萎縮しそうになるものの、単に私を心配したり気遣うようなものなのだと分かり、気を取り直す。
「あれ、もう起きて平気なのかい……！？」
バタバタと距離を狭めて来たのは、ハルクことバナー博士だった。彼の診察を軽く受けた後、漸く私は席に着いた。
「皆、紹介するわ。彼女は＿＿＿」
『ウィリアムズです。A・ウィリアムズ』
ロマノフさんの厚意を遮り、私は早口で自分の名を告げた。時間が惜しかった。
『皆さんとは……一度、戦いましたね』
「今は仲間だ」
鷹揚とした声に振り返ると、キャプテンが手を差し出していた。おずおずとその手を取る。
「僕はスティーブ・ロジャース。よろしく」
彼に続き、他の皆も口々に自己紹介を始める。
そして私達を地球へ連れ戻してくれたのは、キャロルという女性だと知った。彼女は銀河の垣根を超え活躍しているヒーローだそうだ。お礼を言うと、彼女は優しげに目を細めた。
「それでA、サノスに関して何か知っている事はないか？些細な事でも良いんだが」
『知っている事……ですか？……何をするつもりですか』
質問に質問で返すと、キャプテンは言葉に困っているようだった。そして一瞬の沈黙の後「このままにはしておけない」と重い声で言った。
『探し出して、殺すんですか？』
空中に浮かぶスクリーンが被害状況を映し出す。瞬きする度に推移する夥しい数値と、ピックアップされる要人達の情報。
ピーター、そしてスタークさんの名前が見えて、私はまるで突然、冷たい水底に突き落とされたかのような感覚に陥った。息苦しさに密かにもがいている内に、押し留めていた激情が溢れ返り、今にも私を飲み込もうと膨れ上がる。
耐えなければ＿＿＿そう思い拳を握るが反抗虚しく、やがてそれは決壊した。
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vanny(プロフ) - Unknownさん» トニー推しの身としては、解釈が合うと言って頂けて一安心です笑これからも頑張って創作に励みますね！素敵なコメントありがとうございました。 (8月30日 12時) (
レス) id: e2f2cf9807 (このIDを非表示/違反報告)
vanny(プロフ) - Unknownさん» このような長い物語を呼んで頂き、本当にありがとうございます。絶対完結させるぞ…！と意気込んで必死に書いて来た日々が報われたような気分です😢私の作品がUnknownさんのお目に止まり、少しでも要望を叶える事が出来ていたのであれば僥倖です。 (8月30日 12時) (レス) id: e2f2cf9807 (このIDを非表示/違反報告)
Unknown(プロフ) - そして、3年という長い年月をかけてまで完結してくれたことと、自分の中でのトニースタークの解釈と本当に一致していたのが嬉しいです笑これからも、素晴らしい作品を生み出してください。 (8月29日 0時) (レス) id: 15fcef644d (このIDを非表示/違反報告)
Unknown(プロフ) - 本当に素晴らしい作品で、一気に読んでしまいました。私もトニースタークの哀しい人生に何か救いがあればいいな、と思っていました。このような本当に素晴らしい作品に出会えた自分の運、そして、作ってくださったことに心から感謝したいです。 (8月29日 0時) (レス) @page49 id: 15fcef644d (このIDを非表示/違反報告)
vanny(プロフ) - stupidさん» お気になさらず〜！日常系ですね！分かりました👍ありがとうございます！ (2023年2月11日 12時) (レス) id: e2f2cf9807 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：vanny | 作成日時：2022年3月16日 13時
