第210話《時は満ちて》 ページ17
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真新しいスーツを身に付け、一足先にタイムマシンの足元で皆を待っていた。
『……長かった』
此処に至るまでに沢山の苦労があった。人も物も、目に見えない事も、多くを失った。
もうこれ以上、奪われるわけにはいかない。
「平気か？」
装置の上から声をかけられて振り向くと、スティーブが手を差し出していた。いつの間にか皆ももう揃っている。躊躇している間に向こうから手を取られ、強い力でタイムマシンへ引き上げられた。
『ありがとう』
「良いんだ。……そろそろ始めよう」
コクンと頷き、スティーブの隣に立つ。正円を描くように全員で集まり、手を出し合った。誰も彼もが緊張した面持ちで、空気はピンと張り詰めていた。
「5年前、我々は負けた。皆が友人を失い、家族を失い、自分の一部を失った。今、それを取り戻すチャンスだ。
各自任務は分かっているな？ストーンを探し、取り戻せ。タイムトラベルは一回だ。ミスは許されない。やり直しは効かない。
行き先が馴染みの場所であっても、何が起きるかは予想できない。気をつけろ。お互いを守れ。これは命を賭けた戦いだ。必ず勝つ。何を犠牲にしても。
……幸運を」
彼がこちらに視線を向ける。強く重い響きを持った数々の言葉が、私の心の中で共鳴した。
「スピーチ上手いな」ロケットの普段通りの軽口を境に、少しだけ肩の力が抜けたような気がして、私はふと手元の機械に目を落とした。
彼の遺したメビウスの輪の理論とジャービスの計算、バナー博士とスコットさんの技術力……可能な限り手は尽くしたが、やはり安全性や精度に遺恨が残った。
だがもう、これに賭ける他ない。
『(____スタークさん、貴方を取り戻す為なら、私は……)』
頭部のスーツを装着し、目を閉じる。決意と共にボタンを押すと、小さくカチリという音が鳴った。
その、次の瞬間。
『ッ！！』
まず感じたのは閃光。次いで凄まじい引力に身体が吸い込まれる感覚_____ブワリと身体が浮き上がり、不思議な空間を通り抜けていく。流されるがままに身を委ねていると、やがて別段に大きな光が私達を飲み込んでいった。
＊
『……ここ、は』
目の前に広がる光景に、息を呑み込む。繁栄を誇示するかのようなビル街、人々の営みを見守るように佇む巨大な女神の像______その周囲をチタウリがあちこち飛び回り、人や建物に対して無差別攻撃を放ち続けている。
間違いない、2012年のニューヨークだ。
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vanny(プロフ) - Unknownさん» トニー推しの身としては、解釈が合うと言って頂けて一安心です笑これからも頑張って創作に励みますね！素敵なコメントありがとうございました。 (8月30日 12時) (
レス) id: e2f2cf9807 (このIDを非表示/違反報告)
vanny(プロフ) - Unknownさん» このような長い物語を呼んで頂き、本当にありがとうございます。絶対完結させるぞ…！と意気込んで必死に書いて来た日々が報われたような気分です😢私の作品がUnknownさんのお目に止まり、少しでも要望を叶える事が出来ていたのであれば僥倖です。 (8月30日 12時) (レス) id: e2f2cf9807 (このIDを非表示/違反報告)
Unknown(プロフ) - そして、3年という長い年月をかけてまで完結してくれたことと、自分の中でのトニースタークの解釈と本当に一致していたのが嬉しいです笑これからも、素晴らしい作品を生み出してください。 (8月29日 0時) (レス) id: 15fcef644d (このIDを非表示/違反報告)
Unknown(プロフ) - 本当に素晴らしい作品で、一気に読んでしまいました。私もトニースタークの哀しい人生に何か救いがあればいいな、と思っていました。このような本当に素晴らしい作品に出会えた自分の運、そして、作ってくださったことに心から感謝したいです。 (8月29日 0時) (レス) @page49 id: 15fcef644d (このIDを非表示/違反報告)
vanny(プロフ) - stupidさん» お気になさらず〜！日常系ですね！分かりました👍ありがとうございます！ (2023年2月11日 12時) (レス) id: e2f2cf9807 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：vanny | 作成日時：2022年3月16日 13時
