これを恋と読まずしてなんと呼ぶ (ページ1)

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独占欲(勝デク) ページ1

11時32分。
コンビニの帰り道に「それ」を見た瞬間、胸の辺りがざわざわして気持ちわりぃ感覚に襲われた。

「それ」は俺の幼馴染みのクソデクがあの半分野郎と手を繋ぎをしながら歩いていたのを見たからだ。

なぜだか俺にはふたりが幸せそうなのがわかった。

そう思った瞬間、怒りと焦りという感覚で身体中が支配されていった。

自分でも意味が分からなかった。

だか、どうもできようがない。そのまま俺は家に帰って眠りについた。

翌日になってもその感情は図々しく俺の中に居座っている。

----クソ。胸糞わりぃ。----

まるでなにかから逃げるように雄英へ向かった。

あー、イライラする。

なぜだ、なぜ、と思考を巡らすだけ無駄と判断した。

そう考えがまとまった時曲がり角を曲がった瞬間少し歩いた先に緑髪のあいつがいた。

「でく…」

その言葉を聞いたとき、ソイツが後ろを向き、ほんの少し怯えた顔で「勝っちゃん？」どうしたの。

とききかえしてきた。

タイミングわりぃと思ったが逆によかったのかも知れない。

「おい、クソデク」

少し間をおいてデクが口を開いた。

「なに？勝っちゃん。」

「てめぇきのう１1時頃何してやがった。」

その瞬間デクの血の気がサッと引いて、青ざめたのがわかった。

「えっと、それは…」

下を向き言葉を濁すデクを見ていると中学の時を思い出す。

　「屋上からワンチャンダイブ！！」
　
俺は昔からこの目の前にいるこの木偶の坊が大嫌いなんだ。

なのに、なのに。

俺はどうして焦ってんだ。

なにに焦ってるんだ。

嫌いなのに

「勝っちゃん？」

心配する瞳でこちらをのぞきこんできた。

俺は、俺は。

その瞬間デクを抱き締めた。

「えっ、とえええ！？勝っ」

「黙ってろ。」

「ハイ！！」

俺は、半分野郎がコイツといたことが許せなかったんだ。

コイツが…出久が
半分野郎のことを好きなのが。

どうしても我慢ならなかったんだ。

まるで昔から大切な自分のものが理不尽な力で自分から離れていくような。

意味がないとわかっているのに、抗い、泣き叫ぶ子供のような…。

「まるで餓鬼だな…」

「あ、あの勝っちゃん？」

「ンでもねーよ死ね！」

「理不尽！！」

今はまだこの状況に甘んじていたい。

そんな我が儘を想う。

だって俺は餓鬼だから。