世話係と黒豹 (ページ29)

今日:2 hit、昨日:10 hit、合計:133,607 hit

episode28 ページ29

香奈美「歩ちゃんも誰かにチョコをあげるの？」

歩「いえ、私は食べるの専門なんで。それにそういうのがまだよく分からなくて。お2人は？」

八重花「私はきりしまにあげる。」

かわいいねぇ。んでも少し妬けるや

歩「Aさんは？」

A「ん、私？それは秘密。でも歩ちゃんにも作ってあげるよ。」

歩「ほんとですか！それは是非頂きます。」

じゅるりと聞こえそうな勢いで答えてくれた。

A「お嬢は作るのは今年が初めてですよね？」

八重花「うん。楽しみ」

頬をほんのり赤く染めながら準備をしていた。

それから弱1時間チョコが完成していた。
家の中が甘い匂いに包まれていて歩ちゃんが幸せ、と呟いていた。ほんとに食べるのが好きな子なんだろうな

すると透が廊下を通りかかったのが見えた。タバコを吸いながら。

歩「甘い匂いにつられて出てきたんですか？」

霧島「違うわ、」

香奈美「あ、透くんいい所に！皆事務所にいる？」

霧島「あ、はい。居ますよ」

だって、と言い香奈美ちゃんはお嬢と作戦会議をしていた。結果今渡しに行くことになりお嬢が透を追いかけて行った。

香奈美「Aちゃんはいいの？」

A「そうですね、後でこっそりあげます。特性なんで」

とニヤッと笑う。

香奈美「透くんもAちゃんのチョコ大好きだもんね。」

歩「なんだか普通のチョコとは違う感じでしたよね？」

A「うん。ちょっとね、企業秘密。ほらどうぞ」

ホイっと手の上に小さな小箱を乗せた。

歩「え、これ頂いていいんですか？こんなに！」

A「いいんだよ、皆にあげるために作ったんだからね、」

香奈美「さ、私達も茶室に行こう！」

私たちはチョコをトレイに乗せて茶室まで運んだ。

縁側にお嬢と霧島が座っているのが見えた。
仲良くチョコを食べているのが見える。
仲良くなれて良かった。お嬢は人見知りなところがあるって聞いていたから。最初は透もそんなに子供に優しくできるなんて少し意外だとも思った。

私が茶室でみんなと喋りながらお茶を飲んでいるとお嬢と透が入ってきた。お嬢は満更でもなさそうな顔をしていたし透は満足気に頬を緩めていた。

八重花「皆、おいしい？」

お嬢はこれから組長にケーキを持っていくらしい。
透はと言うと私の隣にどサリと座った。でもそっぽを向いたまま。