羽ばたけるなら3 (ページ18)

今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:12,200 hit

林間合宿（8）ページ18

洸汰くんのところ行くのかな？
私も、ヒーローじゃ無かったけど、両親を亡くしているから少し気になっていたんだよね…。

着いて行ってもいいかな。
彼の後ろに着いていくと、緑谷くんが洸汰くんにカレーを渡していた。

「てめェ！何故ここが」
「あ、ごめん、足跡を追って…ご飯食べないのかなと」
「いいよ、いらねえよ！言ったろ？つるむ気などねえ！俺のひみつきちから出てけ」

「洸汰くん…私もお邪魔しちゃってます…」

「お前…も出ていけ！」

「え、新谷さん！？」

「ごめん…後ろ着いてきたの」

「個性を伸ばすとかはり切っちゃってさ、気味悪い！そんなにひけらかしたいかよ、力」

「君の両親さ、ひょっとして水の個性のウォーターホース？」

「マンダレイか！？」

「あ、いや、えっと、あ、ごめん！うん、何か流れで聞いちゃって。情報的にそうかなって…残念な事件だった。おぼえてる」

「うるせえよ…頭イカれてるよみーんな、、馬鹿みたいにヒーローとかヴィランとか言っちゃって殺し合って個性とか言っちゃって…ひけらかしてるからそうなるんだ、バーカ」

洸汰くん…。

「なんだよ、もう用ないんだったら出てけよ！」

「いや、あの、えー、友だち、僕の友だちさ、親から個性が引き継がれなくてね、先天的なもので稀にあるらしいんだけど、でも、そいつはヒーローに憧れちゃって」

緑谷くん…。自分のことだよね。

「でも、今って個性がないとヒーローにはなれなくて、そいつさ、しばらくは受け入れられずに練習してたんだ。ものを引き寄せようとしたり、火を吹こうとしたり…でもダメだった」

「個性に対して色々な考えがあって一概には言えないけど…そこまで否定しちゃうと君が辛くなるだけだよ」

「うるせえ！ズケズケと！出てけよ！」

「ごめん…とりとめのないことしか言えなくて…カレー置いとくね」

「新谷さん、僕いくね…新谷さんはどうするの？」
「私はもうちょっとここに残るね」

緑谷くんはカレーを置くとその場を去った。

「うるさい…どいつもこいつも…で、なんでお前は出ていかねぇんだよ」

洸汰くんと目が合う。
私は膝をついて彼の目線と合わせ、ぎゅっと彼を抱きしめる。

「辛かったね」

「……っ離せよ！！辛くなんか…」

辛くないはずなんてない…
彼の涙がそれを物語っている。