手紙 ページ25
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声が枯れる程、泣いた。
泣いて、泣き疲れて、
僕は床に倒れるようにして蹲った。
体を横にしたのは何日ぶりだろう。
ずっと傑を抱いて座っていた。
そんな小さなことにも泣き出しそうになって、
僕は慌てて反対側に寝返りをうった。
ふと白い何かが、
机に挟まっているのに気がついた。
手を伸ばして見てみると、それは手紙だった。
何となく、僕は傑の前で読まないといけない気がして、
そのまま家を出た。
_________
もうクリスマスなど1週間も前に終わったというのに
未だに浮かれているイルミネーションが見える。
傑が隣にいなくても、相変わらずここは
景色がよく見えて、とても綺麗だ
僕は、買ってきた桔梗の花束をお墓に添えて、
横に座って、手紙を開いた。
__
〈A へ。
Aに手紙を書くのは初めてだね。
これを読んでいる君は、蒼い瞳を潤ませて、
きっと泣いているんだろうな。
ごめんね。
勝手に手を差し伸べて、
勝手に置いていってしまったね。
私は、あの村で初めて君を見た時助けなきゃと思った。
最初は君の容姿に悟を重ねていた。
初めて一緒に蕎麦を食べた時なんか、
本当に似ていると思ってしまったよ。
いつからだろう、悟を思い出さなくなったのは。
Aと過ごしている時は、ありのままで居られた。
私には夢があった。
呪術師だけの世界を作りたかった。
この世界では、心から笑えなかった。
でも、不思議だね。
君と会ってから、私はこの世界でも笑えていた。
Aが変えてくれたんだよ。
Aには、この手紙に書くような、
本当の気持ちを伝えることが出来なかった。
こうなると分かっていたからね。
君を仮に呪ってしまったら、
私は自分を許せそうにない。
だから、言えなかった。
Aを、愛しているよ。
ちゃんと目を見て、伝えたかった。
僕もだよって笑う君が見たかった。
私と出会ってくれて、ありがとう。
君といる時だけは、幸せだった。
愛してるよ。
_____________夏油 傑 より。〉
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大豆 - 一気読みしました。神作すぎです。最高です!!!!!!! (9月25日 20時) (レス) @page28 id: 41f5d68925 (このIDを非表示/違反報告)
もぐ(プロフ) - 全部一気読みできてよかったです…最高の神作でした!!何回も読み直そうと思います!ありがとうございましたっ! (8月16日 23時) (レス) @page28 id: 4a6be33ef0 (このIDを非表示/違反報告)
カケオレ - やばい、めっちゃ好みだわ。泣く (2023年3月3日 17時) (レス) @page28 id: 1b32a494c8 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - だばぁ(泣) (2022年8月21日 14時) (レス) @page28 id: 2a4261c7b0 (このIDを非表示/違反報告)
M - コメント失礼します! マジで感動しました!タオル一枚濡れる位泣きました!この物語を作っていただきありがとうございます!!!他の作品も応援しています!!頑張ってください! (2022年8月17日 21時) (レス) @page28 id: 97799f7c89 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おっ腐 | 作成日時:2022年6月22日 22時