幸せだった ページ23
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彼の腕に抱えられた傑は、
よく僕を撫でてくれた右腕を失って、眠っていた。
『……傑、?』
「……君が、A?
本当に、僕そっくりだね。」
そう言って、彼は僕の方に歩いてくる。
1歩、1歩、ゆっくり僕に近ずいて来る度に、
言葉を零した。
「……傑にね、言われたよ。
Aをよろしく頼む、って。
Aは優しくて、いい子だから、
幸せになって欲しい。
悟なら、Aを最後まで守れるだろう?、って。」
そう言いながら、
座り込む僕の膝の上に、そっと傑を置いた。
「君はまだやり直せるよ。
もっと色んな人に会って、触れて、
色んな世界を見て、生きたらいい。
君に手を差し伸べるのは、傑だけじゃない。」
僕にとって、〈死〉は甘い誘惑そのものだった。
あの村に居た時から、ずっとそうだった。
両親の肉を口に詰められ、
虫や泥水で腹を満たし、
男達に嬲られた。
そんな時、〈死〉は甘い誘惑でしかなかった。
辛いことから解放される。
僕を優しく手招く〈死〉。
そんな僕に、傑だけが手を差し伸べてくれた。
そしてまた、〈死〉は僕の前に現れる。
また、〈死〉を望む。
傑がいない世界では、息さえできない。
『……僕があの檻にいなかったら、
傑はまだ、貴方の隣にいたのかな。』
「……傑は死んだ。
僕の親友の頼みだ。君を高専で受け入れる。
…1人は寂しいよ。」
『……僕の人生には、傑しかいないんです。
それを寂しいなんて言う貴方には、わからない。
僕は、幸せだった。』
僕は幸せだった。
傑と過ごした時間だけ、僕は生きていた。
傑が居なきゃ、死んでるのと同じだ。
傑に出会えた事は、
この世に産まれることよりも幸せな事だった。
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大豆 - 一気読みしました。神作すぎです。最高です!!!!!!! (9月25日 20時) (レス) @page28 id: 41f5d68925 (このIDを非表示/違反報告)
もぐ(プロフ) - 全部一気読みできてよかったです…最高の神作でした!!何回も読み直そうと思います!ありがとうございましたっ! (8月16日 23時) (レス) @page28 id: 4a6be33ef0 (このIDを非表示/違反報告)
カケオレ - やばい、めっちゃ好みだわ。泣く (2023年3月3日 17時) (レス) @page28 id: 1b32a494c8 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - だばぁ(泣) (2022年8月21日 14時) (レス) @page28 id: 2a4261c7b0 (このIDを非表示/違反報告)
M - コメント失礼します! マジで感動しました!タオル一枚濡れる位泣きました!この物語を作っていただきありがとうございます!!!他の作品も応援しています!!頑張ってください! (2022年8月17日 21時) (レス) @page28 id: 97799f7c89 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おっ腐 | 作成日時:2022年6月22日 22時