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息をして生きる ページ12















コトッ…と、テーブルに2杯の蕎麦が並ぶ。












「いただきます。」



『いただきます。』













同じタイミングで両手を合わせ、
ズルズルと蕎麦を啜った。














サクサクの海老天が、
少し濃いめに味付けしたつゆに

















______



















「ふふっ、なんかいいね。
こうしてダラダラ過ごすのも」






『うん。…すごい、すき。』






「本当?Aが好きな事増えていくの、
嬉しいなあ」






『…傑がいるから、すきなんだよ』






「……ずいぶん素直になったね。
近所の凶暴な大型犬が懐いたみたいだ。」






『なっ…僕は大型犬じゃない!』







「はは、すまない。どちらかと言うと白猫だね」







『もー…そういう傑は、優しくなくなったよね!』



















僕達は年越しそばを食べ終わり、
スープが残る丼とお箸を片付けもせずにコタツでダラダラとしながら話していた。







ふと、傑が言った。



















「……今年で、10年目だね。」

















と。













数えてみればもうそんなに月日が経っていたらしい。






10年。

僕があの村を出て、10年。











言葉にすれば長く感じる10年は、

僕があの村で過ごした17年間の、
たった1年にも満たない程の体感だった。









その位に、傑と過ごした時間は、

目まぐるしくて、鮮やかで、輝いていた。









それでも、全てが記憶に残っている。
















傑が初めて僕の目の前に現れた時も、


何年かぶりに見上げた空の色も、


何年かぶりに浴びる日差しの暑さも、


初めて一緒に食べたざる蕎麦の味も、


柔らかい布団も、







すべて鮮明に僕に刻まれている。



















僕が息をして、〈 生きた〉時間。












あの時、死んでいた僕の時間は、


傑と出会って、また動き出したんだ。













秘密基地→←雪とコタツと蕎麦



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設定タグ:夏油傑 , 呪術廻戦 , 男主
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大豆 - 一気読みしました。神作すぎです。最高です!!!!!!! (9月25日 20時) (レス) @page28 id: 41f5d68925 (このIDを非表示/違反報告)
もぐ(プロフ) - 全部一気読みできてよかったです…最高の神作でした!!何回も読み直そうと思います!ありがとうございましたっ! (8月16日 23時) (レス) @page28 id: 4a6be33ef0 (このIDを非表示/違反報告)
カケオレ - やばい、めっちゃ好みだわ。泣く (2023年3月3日 17時) (レス) @page28 id: 1b32a494c8 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - だばぁ(泣) (2022年8月21日 14時) (レス) @page28 id: 2a4261c7b0 (このIDを非表示/違反報告)
M - コメント失礼します! マジで感動しました!タオル一枚濡れる位泣きました!この物語を作っていただきありがとうございます!!!他の作品も応援しています!!頑張ってください! (2022年8月17日 21時) (レス) @page28 id: 97799f7c89 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おっ腐 | 作成日時:2022年6月22日 22時

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