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会いに行けば ページ6

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 それから数週間経ったのだが、Aは王子様のことが忘れられず、学校が終わった放課後に、たびたびあの砂浜を訪れるようになった。賢者の島の砂浜。でも人間には気付かれないように、海岸より少し遠い場所で顔を出した。
 南側には白いお城のような建物が見える。これがあの2人の言う、ネージュ・リュバンシェという俳優が通う学校、ロイヤルソードアカデミーだろうか。
 そして、北側の山の上に立つ黒色のシックな建物がNRC…ナイトレイブンカレッジだろう。ヴィルやあの王子様が通う男子校だ。

 Aは改めて砂浜を見たが、そこに何人かの人影があったものの、結局王子様の姿は知らないので、彼がいたとしてもAが気付いて話しかけることはできないのだが。

「また来てる」

「アリア…」

 ぱしゃんと水面で水の跳ねる音がしたと思えば、アリアが顔を覗かせていた。彼女は、Aが放課後に何度も海岸に来ていることに気付いているようだった。一応、Aはこっそり来ているつもりだったのだが。

「王子の姿が分からないのに見てもねぇ」

「王子様が私に気づいてくれたらいいんだけど」

 きっと王子は、盲目でもない限りAの姿を見ているはずだ。金髪に青い尾びれ、すらりとした腰回りはかなり印象に残るはず。王子がAの姿を覚えるということには、かなりの自信があるように見える。

「会いに行けば?」

 アリアはそう言った。正直、この言葉を聞いたAはそんなこと冗談でも言わないでと思ってしまっていた。別に、人間に対して、陸に対してなにか不安だとか、恨みがあるとかそういうことではない。ただ、そこまでの勇気がないだけなのだ。

「いいじゃん。魔法薬なんてマリーに頼んだら一発だよ」

 マリーは話し方から丁寧さが伝わるように、珊瑚の海ではかなりの富裕層の一家に生まれている。なんでもお父様は商人のようで、様々なものを取引している。
 マリー自身も、父の仕事の関係で何度か陸に行ったことがあるくらいだ。

「陸に行く事自体は珍しい事じゃないよ?知ってるでしょ」

「うん…」

「ちょっとマリーに相談してみよう。いろいろ準備もあるしさ」

 Aの答えを聞く前に1人で楽しそうに話を進めていくアリアを横目に、Aはどうしようと頭を悩ませることになった。

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さーも(プロフ) - 巫香渚さん» バースデーは比較的来てくれるような気もしますけど推しになるとこないですよね笑ギリギリまで頑張ってください!! (2021年7月29日 21時) (レス) id: 3e0f107a18 (このIDを非表示/違反報告)
巫香渚(プロフ) - おじたんが二十連で…!羨ましいです。私も二十連したのですが、来てくれませんでした.8月1日まで粘るつもりです。 (2021年7月29日 18時) (レス) id: 254cdf7334 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さーも | 作成日時:2021年7月2日 21時

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