検索窓
今日:1 hit、昨日:4 hit、合計:20,196 hit

弱気 ページ28

.



 さて、どうしたものだろうか。少女がトレイの姿を見たとはあまり考えにくい。助けられたという事実にさえ気付いていないかもしれない。
 そう思うと、たとえ恋をしていたとしても、それを成就させることは難しいだろうとトレイは考えた。

「会いに行ってみてはどうだい?」

「いや…突然『貴女を助けた恩人です』って会いに行っても不信感しかないだろ…」

 海の中に行って彼女に会うことぐらい、今の魔法のレベル的には全く問題ないのだが、突然見ず知らずの男が訪ねてくるという状況は問題である。

「会わなければなにも始まらないよ」

「でも可能性が…」

「それは賭けるしかないけどね。試してみるのもいいんじゃないかな」

「…そうか」

 会えば自分の気持ちが分かるかもしれないと、トレイは考えた。突然やって来た男に狼狽える少女の姿しか思い浮かばないが。

「少しでも、彼女に俺の印象が残っていたらいいんだが」

「大丈夫さ。きっと君の善意は伝わっているよ。それに」

 ルークが言葉を続けようとして、トレイはルークは一体何を言うのだろうと彼を見た。

「そんな顔をするのなら、もう恋で確定な気もするけどね」

「なっ…!そんな顔!?どんな顔だよ」

「恋する乙女の顔さ」

「俺は乙女じゃないぞ!」

 ルークは「オーララ」と言いながら笑ったが、トレイは自分の顔がだんだん赤みを増していくような感覚を感じた。

「あんまりからかうなよ…魔法薬のレシピを探しにいくから手伝ってくれ」

「ウィ!」

 トレイは実験服を脱いで近くのテーブルにかけると、ルークも実験服を脱いだ。植物園から図書室までは少し距離がある。この間もルークにいろいろと聞かれるんだろうなと思うと、先が思いやられたが、トレイは先に図書室へと歩き出した。

契約→←忘れられない



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (49 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
106人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

さーも(プロフ) - 巫香渚さん» バースデーは比較的来てくれるような気もしますけど推しになるとこないですよね笑ギリギリまで頑張ってください!! (2021年7月29日 21時) (レス) id: 3e0f107a18 (このIDを非表示/違反報告)
巫香渚(プロフ) - おじたんが二十連で…!羨ましいです。私も二十連したのですが、来てくれませんでした.8月1日まで粘るつもりです。 (2021年7月29日 18時) (レス) id: 254cdf7334 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:さーも | 作成日時:2021年7月2日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。