(5):後悔は学ぶもの ページ5
その天才嫌いな及川と同じクラスだと知ったのは、仮入部1日目を終えた次の日。
その日、たまたま日直だった及川に日誌を渡せ、と担任にパシられたのだ。
渋々及川の席に近づき、話しかけると、及川は顔を上げ、いつもの様に俺を睨みつけた。
「及川」
「なに」
日誌を渡そうと思い、話し掛ければこのザマだ。
冷たくあしらわれ、少しムッとしたが、体はこうだが、中身はもうアラサーになったのだ。
冷静に、冷静に。
「これ、日誌」
そっと机の上に置くと、顔を背けていた及川が、こちらを向いた。
「……なんで、
及川は、お前なら白鳥沢でも何処でも行けるだろ、と言いたげな瞳で俺を見つめた。
その瞳は、天才への怨念が宿っていた。
……過去に何かあったのだろうか……
俺は昔の仲間を思い出し、きゅっ、と目を細めた。
「十年前、
……そこで、俺の仲間が亡くなった…
だから、俺はその人達の分、生きて、春高も頂点に行って、卒業するって決めたんだ」
あの時の事を思い出すと、涙が溢れる。
今でも立ち直れない。あんなに大事にして来た仲間が、俺のせいで、
俺のせいで死んだんだ……
どうしようもなく、涙がポロポロと溢れ出て、頬を伝っていく。
及川はそんな俺を見て、ギョッとした顔をしている。
そんな中、一人のクラスメイトが俺を見て声を上げた。
「は、なんで松川泣いてんの?」
俺と及川は教室に居た。
時間は昼休みで、当然、クラスメイトもいる。
……見られた…
俺は、恥ずかしさと後悔が入り交じり、耐えられなくなって教室を出て行った。
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shinobo(プロフ) - なんて私得なんでしょうか (2019年7月23日 21時) (レス) id: b607d0f086 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サラン | 作者ホームページ:http://uranai.
作成日時:2017年3月23日 22時